棚卸と差異

棚卸当日の進め方 - 人の割り振り・進捗の見せ方と当日の入荷・出荷の扱い

公開 2026-08-30更新 2026-10-03 執筆 在庫板 編集部
在庫板 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日

棚卸の当日、人は集まっているのに全体が進まない。終わったつもりの棚をもう一度数えている人がいる一方で、誰も行っていない一角が残っている。棚卸当日の進め方でつまずくのは、数え方ではなく割り振りと進捗の見せ方です。

一般には、棚卸は事前準備・実施・差異処理の3段階で説明されます。この記事では、そのうち実施の当日に絞って、朝の読み合わせから回収と締めまでの進め方を整理します。数える前の準備は棚卸差異を減らす方法にまとめました。

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この記事の内容(12項目)
  1. 棚卸当日の進め方は4つの区切りで考える
  2. いちばん時間が読めないのは4番目
  3. 数える時間より、集めて突き合わせる時間が長い
  4. 朝の10分で読み合わせる
  5. 読み合わせる5つ
  6. 「見つからない」を空欄にしない
  7. 応援の人には区画を1つだけ渡す
  8. 区画の割り振りと進捗の見せ方
  9. 紙を1枚、壁に貼る
  10. 現物にも印を付ける
  11. 重い区画から始める
  12. 数え方をそろえる
  13. 数える人と書く人を分ける
  14. 棚卸表に帳簿の数量を印刷しない
  15. 棚卸中に動いた在庫は別紙で持つ
  16. 回収と締めの進め方
  17. 用紙は区画ごとに回収して、その場で確認する
  18. 差が出た品目だけ、別の人が二度数える
  19. その日のうちに差異一覧を確定させる
  20. 終わったあとに10分だけ振り返る
  21. 一斉棚卸と循環棚卸で当日の進め方は変わる
  22. 循環棚卸なら、当日の管理はほぼ不要
  23. 一斉棚卸を年1回残すなら、当日の型を残しておく
  24. 当日の時間配分を決めておく
  25. 用紙を昼に一度回収する
  26. 差の二度数えに2時間を確保する
  27. 次回のために所要時間を書き留める
  28. 棚卸当日でつまずきやすい3つ
  29. その1:人を増やせば早く終わると考える
  30. その2:終わった場所が分からない
  31. その3:差の確認を翌日に回す
  32. 棚卸当日の進め方にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
  33. 棚卸当日の進め方に出てくる用語
  34. 棚卸当日の進め方と一緒に押さえておきたいこと
  35. 当日の入荷は「数えない場所」に置いて、受入は締め時刻のあとに回す
  36. 当日の出荷は伝票の時刻で前後を分ける
  37. 棚卸表は7年保存。スキャンして紙を捨てる形にはできない
  38. よくある質問

棚卸当日の進め方は4つの区切りで考える

棚卸当日は、次の4つに区切ると管理しやすくなります。それぞれ終わりの合図を決めておきます。

区切りやること終わりの合図
1. 朝の読み合わせ手順と区画の確認。10分全員が自分の区画を言える
2. 数える区画ごとに数えて用紙に書く区画に数え終わりの印が付く
3. 回収と入力用紙を集めて集計する全区画ぶんの用紙がそろう
4. 差の確認差が出た品目だけ二度数える差異一覧が確定する

いちばん時間が読めないのは4番目

棚卸当日の進め方で予定が崩れるのは、たいてい最後の差の確認です。差が出た品目の数が読めないためです。ここに2時間を見込んでおくと、当日の予定が現実的になります。

数える時間より、集めて突き合わせる時間が長い

倉庫を回って数える作業自体は、区画を割ってあれば思ったより早く終わります。用紙を集める、読み取る、突き合わせる。ここに時間がかかります。用紙の様式を統一しておくと、この部分が短くなります。

朝の10分で読み合わせる

棚卸当日の進め方で、いちばん費用対効果が高いのが朝の読み合わせです。10分で当日のばらつきが減ります。

読み合わせる5つ

  1. 数える単位。箱で数えるのか本で数えるのか。開封済みの箱をどう扱うか
  2. 数えない場所。受入前の荷、出荷待ちの荷、保留品の区画
  3. 数え終わりの印。何を貼るか、どこに貼るか
  4. 用紙の書き方。数量欄は空、見つからないものは空欄ではなく0と書く
  5. 分からないときの聞き先。迷ったら誰に聞くか

「見つからない」を空欄にしない

探しても無かった品目を空欄で戻されると、数え忘れなのか本当に無いのかが分かりません。0と書く、または見つからないに丸を付ける、と決めておきます。この1つで、あとの確認作業がかなり減ります。

応援の人には区画を1つだけ渡す

他部署から応援に入った人に複数の区画を渡すと、迷子になります。1区画を渡して、終わったら次を渡す形にすると、どこまで進んだかも同時に分かります。

区画の割り振りと進捗の見せ方

棚卸当日の進め方の中心は、ここです。誰がどこを数えていて、どこが終わったかが1枚で見える状態を作ります。

持たせる項目使いどころ
区画の名前(棚番の範囲)担当が自分の場所を特定できる
担当者質問の宛先になる。二度数えのとき交換する
品目数の目安区画の重さが分かる。応援の配分に使う
開始・終了の時刻次回の見積りに使える
状態未着手・実施中・完了・確認中

紙を1枚、壁に貼る

進捗をパソコンの中で管理すると、現場からは見えません。区画の一覧を印刷して壁に貼り、終わったら線を引くだけで十分です。全員が同じ紙を見ている状態にすることが目的です。

進捗が見えないと起きること
漏れ数え漏れの区画が残る
終盤に発覚する
重複同じ区画を二度数える
時間が重なる
待ち手が空いた人が待つ
全体が延びる
どれも「終わった場所が分からない」ことから起きる

現物にも印を付ける

紙の上の進捗だけでは、倉庫にいる人には分かりません。数え終わった棚に養生テープやマグネットを貼ると、その場で判断できます。紙と現物の両方に印があると、抜けはほぼ消えます。

重い区画から始める

品目数の多い区画を後回しにすると、終盤に人が集中して混乱します。朝いちばんに重い区画へ人を厚く入れるほうが、全体が早く終わります。

数え方をそろえる

棚卸当日の進め方で、人によって数え方が違うと、そこが差異になります。当日に決められることを決めておきます。

迷う場面決めておくこと
開封済みの箱がある中を数える。残数を書いて箱に貼る
同じ品目が2か所にある両方を数えて、それぞれの棚番で書く
不良品・返品待ちが混ざっている別の用紙に書く。良品と足さない
ラベルが読めない数えずに保留にして、担当に確認する
棚卸中に出荷が発生した別紙に書いて、あとで加減する

数える人と書く人を分ける

1人で数えて書くより、2人1組で読み上げと記入を分けたほうが速く、間違いも減ります。読み上げた数を記入者が復唱すると、聞き間違いが消えます。人が足りない場合は、単価の高い区画だけ2人にします。

棚卸表に帳簿の数量を印刷しない

帳簿の数字が見えていると、そこに寄せてしまいます。数量欄は空で持って回るのが基本です。突き合わせは戻ってからで間に合います。

棚卸中に動いた在庫は別紙で持つ

出荷を完全に止められない場合、棚卸中に動いた分を別紙に書いて、あとで加減します。締め時刻を宣言してあれば、この加減は機械的にできます。

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回収と締めの進め方

用紙が集まったら、その日のうちに差の一覧まで作ります。翌日に回すと、現物を見に戻れなくなります。

用紙は区画ごとに回収して、その場で確認する

集めるときに、空欄が無いか、区画名と担当が書いてあるかだけを見ます。この場で気づけば、まだ現物が見に行けます。入力の段階で気づくと、たいてい手遅れです。

差が出た品目だけ、別の人が二度数える

全品目を数え直すと時間が倍になります。差が出た品目だけを、区画の担当を交換して数え直すと、数え間違いはほぼここで消えます。残ったものが本物の差異です。

その日のうちに差異一覧を確定させる

差異の原因調査は後日でも構いませんが、差の一覧だけは当日中に固めます。翌日以降に在庫が動くと、差の数字自体が意味を失います。原因の分け方は棚卸差異の原因にまとめています。

終わったあとに10分だけ振り返る

解散する前に、詰まった場所を3つだけ挙げてもらいます。区画が大きすぎた、用紙が足りなかった、ラベルが読めなかった。その場で言ってもらえば、次回までに直せます。後日アンケートを取っても集まりません。

一斉棚卸と循環棚卸で当日の進め方は変わる

棚卸当日の進め方は、方式によって重さが変わります。人数の少ない循環棚卸では、割り振りそのものがほとんど要りません。

一斉棚卸の当日

人数が多く、割り振りと進捗管理が要る。
朝の読み合わせが効く。
終盤の差の確認に時間がかかる。

循環棚卸の当日

1〜2人で1区画だけ。
割り振りは計画表どおり。
差が出てもその場で履歴を見に行ける。

循環棚卸なら、当日の管理はほぼ不要

区画を1つずつ回す形なら、担当も範囲も計画の時点で決まっています。当日やることは、数えて、差があれば履歴を見るだけです。方式の選び方は一斉棚卸と循環棚卸の違いで扱っています。

一斉棚卸を年1回残すなら、当日の型を残しておく

循環棚卸に移しても、決算のための一斉棚卸は年1回残ることが多くあります。年に1回しかやらない作業は、毎回ゼロから思い出すことになります。区画の割り振り表と朝の読み合わせの内容を、そのまま次年度に使える形で保存しておくと、準備が半分で済みます。

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当日の時間配分を決めておく

棚卸当日の進め方で予定が崩れるのは、区切りごとの時間を見積もっていないからです。おおよその配分を先に置きます。

時間帯やること目安
始業〜30分朝の読み合わせ、用紙と道具の配布30分
午前重い区画から数える全区画の6割
昼前終わった区画の用紙を一次回収15分
午後前半残りの区画を数える全区画の4割
午後後半回収と入力、差の一覧を作る1〜2時間
終業前差が出た品目の二度数え、振り返り1〜2時間

用紙を昼に一度回収する

夕方にまとめて回収すると、入力が終業後にずれ込みます。午前ぶんを昼に一次回収して入力を始めると、午後の差の確認に時間を残せます。

差の二度数えに2時間を確保する

ここを見込んでいないと、時間切れで翌日に回すことになります。差が出た品目の数は読めないので、多めに置いておくのが安全です。早く終わったぶんは振り返りに回せます。

次回のために所要時間を書き留める

区画ごとに何分かかったかを用紙に書いてもらうと、次回の割り振りが現実的になります。1時間かかった区画は、次から2つに割るという判断ができます。

棚卸当日でつまずきやすい3つ

その1:人を増やせば早く終わると考える

棚卸当日に応援を増やすと、慣れていない人が数えることになり、数え間違いが増えます。人数は所要時間の問題であって、精度の問題ではありません。増やすなら、区画の割り振りと読み合わせを先に整えます。

その2:終わった場所が分からない

数え漏れと二度数えは、どちらも同じ原因から起きます。紙と現物の両方に印を付けるだけで、この2つはほぼ消えます。道具は養生テープで足ります。

その3:差の確認を翌日に回す

翌日には在庫が動いているので、差の数字が意味を失います。差が出た品目の二度数えまでは当日中に終わらせます。原因の調査は後日で構いません。

棚卸当日の進め方は、朝の10分と壁に貼る1枚でかなり変わります。数える力量よりも、見えている状態を作るほうが効きます。

棚卸当日の進め方にかかわる最近の動き(2026年10月時点)

棚卸当日の進め方そのものを決めた法令はありません。ただ、棚卸の記録の残し方や、当日の作業の安全にかかわる決まりと統計は、ここ数年で動いています。

時期出来事根拠
2024年1月1日電子取引でやり取りした納品書・請求書などのデータは、紙に印刷して保存する扱い(宥恕措置)が終わり、データのまま保存する形になった。差異を調べるときに見る仕入の記録もこの対象国税庁「令和6年1月からの電子取引データの保存方法」
2025年6月1日熱中症のおそれがある作業で、報告の体制と悪化を防ぐ手順を定めて周知することが義務になった。夏の倉庫での棚卸も、当てはまるかを見ておく労働安全衛生規則612条の2
2025年10月14日Excel 2016・2019 のサポートが終了。棚卸の集計表を古いExcelで開いている場合は版を確かめるMicrosoft Lifecycle「2025年のサポート終了」
2026年5月27日令和7年の労働災害の確定値が公表。全産業の死亡700人のうち、墜落・転落が186人。休業4日以上は135,333人厚生労働省「令和7年 労働災害発生状況」

ポイントは、棚卸の当日に高い棚の上段を数えるときです。脚立や踏み台を使う区画は、朝の読み合わせで「2人1組で、1人は下で支える」と決めておくと安心です。

出典:令和6年1月からの電子取引データの保存方法(国税庁)/労働安全衛生規則(e-Gov法令検索)/2025年のサポート終了(Microsoft)/令和7年 労働災害発生状況(厚生労働省)

確認日は2026年10月3日です。棚卸表の扱いや保存は所轄の税務署か顧問の税理士に、熱中症対策は所轄の労働基準監督署に確かめてください。

棚卸当日の進め方に出てくる用語

棚卸当日の進め方で使う言葉には、法令で定めたものと、現場の言い方にとどまるものがあります。分けて並べます。

用語意味出典
棚卸資産商品・製品・半製品・仕掛品・原材料など、棚卸しをすべきものとして政令で定める資産法人税法2条20号
棚卸表期末の棚卸資産の数量と金額をまとめた書類。決算に関する書類として保存する法人税法施行規則59条1項2号
実地棚卸現物を数えて数量を確かめること。法令上の定義はないなし(実務の言葉)
帳簿棚卸帳簿(在庫の記録)の上で数量を出すこと。法令上の定義はないなし(実務の言葉)
棚卸差異実地棚卸の数と帳簿の数の差。法令上の定義はないなし(実務の言葉)
一斉棚卸・循環棚卸全区画を同じ日に数える方式と、区画を順番に回して数える方式。法令上の定義はないなし(実務の言葉)
締め時刻この時刻の在庫を数える、と決めた基準の時刻。法令上の定義はないなし(実務の言葉)

棚卸当日の進め方と一緒に押さえておきたいこと

棚卸当日の進め方を整えたら、当日に動く荷と、終わったあとの書類の扱いも決めておきます。検索でも「棚卸 当日 入荷」「棚卸 当日 出荷」がよく一緒に調べられています。

当日の入荷は「数えない場所」に置いて、受入は締め時刻のあとに回す

棚卸の当日に入荷があると、数えた棚に荷が足され、数が合わなくなります。一般的には、入荷を棚卸の前日までか翌日以降に寄せます。止められない場合は、届いた荷を受入前の置き場にまとめ、朝の読み合わせで「ここは数えない」と全員に伝えます。受入の記帳を締め時刻のあとの日付で行えば、帳簿と現物の時点がそろいます。

当日の出荷は伝票の時刻で前後を分ける

出荷を止められない場合は、出荷伝票に出した時刻を書いてもらい、締め時刻より前か後かで分けます。締め時刻より後に棚から出た分は、数えたあとに出たのか、数える前に出たのかを区画の印と照らします。締め時刻・区画の印・伝票の時刻の3つがそろうと、あとの加減は機械的にできます。

棚卸表は7年保存。スキャンして紙を捨てる形にはできない

青色申告の法人は、棚卸表を決算に関する書類として7年間保存すると定められています(法人税法施行規則59条1項2号)。また、棚卸表や貸借対照表など決算に関して作った書類は、紙をスキャナで読み取って保存する方法の対象から外されています(電子帳簿保存法4条3項、同施行規則2条4項)。当日の記入用紙をどこまで棚卸表の元として残すかは、顧問の税理士と決めておくと迷いません。

在庫板 編集部がまとめました様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

Q. 棚卸当日は、何人くらい必要ですか?
品目数と区画の数によりますが、人数より区画の割り振りのほうが所要時間に効きます。1区画を1人か2人で担当し、終わったら次の区画を渡す形にすると、人数が少なくても進みます。慣れていない応援を増やすと、かえって数え間違いが増えることがあります。
Q. 棚卸表に帳簿の数量を印刷したほうが早いのでは?
突き合わせは早くなりますが、数える人がその数字に引っ張られます。数量欄は空で持って回り、戻ってから突き合わせるほうが差異が正直に出ます。差が出た品目だけ、担当を交換して二度数えると数え間違いは大半が消えます。
Q. 棚卸中に出荷が発生したら、どうすればいいですか?
締め時刻を先に宣言しておき、その時刻以降に動いた分は別紙に書いて、あとで加減します。「今日の朝の時点で」ではなく「8:00時点」のように時刻まで決めて掲示しておくと、あとの計算が機械的にできます。
Q. 見つからなかった品目は、用紙にどう書けばいいですか?
空欄にせず、0と書くか「見つからない」に丸を付ける形にしてください。空欄だと、数え忘れなのか本当に無いのかが分かりません。この1つを朝の読み合わせで決めておくだけで、回収後の確認作業がかなり減ります。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-10-03時点のものです。