棚卸と差異

保管場所を変えたときの記録 - 棚移動で在庫を見失わない

公開 2026-08-30 執筆 在庫板 編集部

棚番を振って在庫の場所を管理し始めたのに、半年後には「書いてある場所に無い」が増えている。原因は、移したときに直していないことです。古い棚番は、棚番が無いときより探す時間を長くします。

棚移動の記録は、移動元・移動先・理由の3つを書くだけです。それでも書かれないのは、書く場所と書くきっかけが決まっていないからです。この記事では、棚移動の記録を続けられる形にする方法を整理します。棚番そのものの付け方は在庫が合わない原因にまとめました。

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この記事の内容(10項目)

棚移動の記録は3項目でよい

棚移動の記録は、項目を増やすと書かれなくなります。最低限で足ります。

項目書き方要る理由
移動元の棚番A-03-2 のように台帳のどの行を直すかが決まる
移動先の棚番同上新しい場所が分かる
理由模様替え・季節・数量が増えた などまた戻す可能性があるか分かる

日付と担当者を足しても5項目です。これ以上は増やさないと決めておくと、忙しい日でも書けます。

品目名は書かなくてよい場合がある

棚番と品目コードの対応表があるなら、移動の記録には棚番だけあれば足ります。台帳側で品目が引けるので、現場が書く量を減らせます。

数量は原則書かない

棚移動は場所を変えるだけで、数は変わりません。数量を書かせると、入出庫と混同されます。一部だけを移す場合だけ、数量を書く欄を使います。

理由の欄が意外に効く

「季節物を奥へ」という理由が書いてあれば、シーズンになったら戻すと分かります。理由は次の行動の予告になります。

書くきっかけを決める

棚移動の記録が続かないのは、書く動機が弱いからです。動作の中にきっかけを埋め込みます。

記録が残る形
移す現物を動かす
札を書く移動先に貼る紙
用紙に写す棚の横の記入用紙へ
台帳を直す事務所でまとめて
現場が書くのは2つ目と3つ目。台帳の更新は事務所側でよい

移動先に札を貼る

移したときに、移動元の棚番を書いた札を移動先に貼ります。これだけで、台帳が古くても現物から追えます。台帳の更新が遅れても、探せる状態が保てます。

用紙は棚の近くに置く

事務所まで書きに行く形にすると、書かれません。倉庫内に記入用紙を置いて、事務所が後で入力するのが確実です。

台帳の更新はまとめてでよい

現場に台帳を直させると、そこで止まります。現場は紙に書くだけ、更新は1日1回まとめてという分担にすると、両方が回ります。

模様替えのときが最大の山場

棚移動の記録が崩れるのは、1件ずつの移動ではありません。1日に何十品目も動く模様替えです。

やることタイミング
記録係を1人決める作業を始める前
移動前の棚の写真を撮る作業を始める前
移動しながら書く作業中。あとでまとめて思い出さない
その日のうちに台帳を直す作業の当日
翌日に抜き取りで確認する翌営業日

記録係を1人決める

全員が動かして全員が書く形にすると、抜けます。1人を記録係にして、動かす人が声をかける形にすると、まとまって残ります。

移動前に写真を撮っておく

棚の全景を数枚撮っておくと、記録が抜けたときの手がかりになります。1分の作業で、あとの数時間が助かることがあります。

その日のうちに台帳を直す

模様替えの記録を翌週に回すと、たいてい忘れます。作業の当日に台帳まで直すところを1組にしておきます。翌日に何品目か抜き取って、台帳と現物が合うか確かめると確実です。

仮置きと本置きを分ける

棚移動の記録で扱いに困るのが、一時的に置いた場所です。すべてを記録すると手間が増えます。

すべての移動を記録する

台帳は常に正確。
仮置きのたびに書くことになる。
手間が増えてそのうち書かれなくなる

本置きの変更だけ記録する

仮置き場に置くのは自由。
その日のうちに本置きへ戻す。
記録の量が現実的になる

仮置き場にも棚番を振る

仮置き場を「無い場所」にすると、そこにある物が行方不明になります。仮置き場にも棚番を振っておくと、記録するかどうかにかかわらず探せます。

仮置きは当日中に解消する

仮置き場を週に一度は空にする、と決めておくと、そこが常設の置き場所になりません。空にする日を決めておくのが要点です。

数日以上動かないなら本置きにする

仮置き場に1週間置かれているものは、実質そこが置き場所です。棚番を振り直して、台帳を直します。実態に合わせるほうが、探す時間が減ります。

棚移動と棚卸のつながり

棚移動の記録が効いているかどうかは、棚卸で分かります。

棚番順に並べた棚卸表が使えるかどうか

台帳の棚番が正しければ、棚卸表を棚番順に並べて印刷できます。そのまま順路になるので、倉庫を往復せずに数えられます。台帳が古いと、この並べ替えが役に立ちません。

「帳簿にあるが現物が無い」の多くは移動

棚卸で見つからなかった品目のうち、かなりの割合が別の棚にあります。移動の記録があれば、そこを見に行くだけで済みます。無ければ倉庫を探し回ることになります。

差異の出た棚番を並べてみる

棚卸で差が出た品目の棚番を並べると、同じ一角が繰り返し出てくることがあります。そこは移動が多い場所か、台帳が古い場所です。棚番を振り直す候補になります。差異の見方は棚卸差異の原因で扱っています。

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棚番の一覧と一緒に運用する

棚移動の記録は、棚番の一覧があって初めて意味を持ちます。2つで1組です。

持つもの更新の頻度役割
棚番と品目の対応表移動のたびに更新探すときに引く
棚移動の記録移動のたびに1行足すいつ何を動かしたかの履歴

対応表は現在の状態、記録は履歴

対応表は上書きしていく現在の姿、移動の記録は足していく履歴です。対応表だけだと、いつ動かしたかが分かりません。差異を追うときに履歴が要ります。

倉庫に地図を1枚貼る

棚番の一覧に加えて、倉庫の見取り図に棚番を書いた紙を貼っておくと、新しく入った人でも探せます。作るのに1時間、効果は毎日出ます。作り方は在庫が合わない原因で扱っています。

年に1回は現物と突き合わせる

移動の記録を残していても、書き漏れは出ます。棚卸のときに、棚番と現物が合っているかも一緒に見ると、年に1回はリセットできます。

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現場や別倉庫への移動

棚移動の記録は、社内の別の場所へ移すときにも使えます。倉庫の中だけの話ではありません。

移動の種類記録のしかた
同じ倉庫の棚から棚へ棚移動として記録。数は変わらない
倉庫から現場へ持出として記録。戻りまで追う
倉庫から別倉庫へ棚移動として記録。移動先の倉庫名まで書く
現場から現場へ移動として記録。持出の行を書き換える

拠点をまたぐ移動は、双方で書く

別の倉庫へ送った資材は、送った側と受けた側の両方で記録しないと、どちらの在庫か分からない期間ができます。送った日と受けた日を両方書くと、輸送中の分も追えます。

現場から現場への横持ちも記録する

A現場で余った資材をB現場へ回すのは合理的ですが、記録が無いと行方が分かりません。持出の記録の現場名を書き換えて、移動した日を書くだけで追えます。

棚移動が多い倉庫は、配置そのものを見直す

棚移動の記録が毎月何十行も出るなら、記録の問題ではなく配置の問題です。

移動が多くなる原因配置での手当て
よく使う物が奥にある出庫の頻度順に手前から並べ直す
1つの棚番に物が入りきらない数量の多い品目に広い場所を割り当てる
季節で使う物が入れ替わる季節物の区画を決めて、そこだけ入れ替える
新しい品目の置き場所がない空きの棚番を常に数か所あけておく

出庫の頻度で並べ直す

年に1回しか出ない品目が入口の近くにあり、毎日出る品目が奥にある。この配置だと、移動も歩行距離も増えます。年に1回、出庫の回数で並べ直すと、その後の移動が減ります。

空きの棚番を用意しておく

倉庫が満杯だと、新しい品目が来るたびに既存の在庫を動かすことになります。常に数か所を空けておくと、この連鎖が止まります。

季節物は入れ替える場所を固定する

季節で使う物は必ず動きます。入れ替える区画をあらかじめ決めておくと、移動先を毎回考えずに済み、記録も1回で書けます。

棚移動の記録でつまずきやすい3つ

その1:模様替えのときに書かない

1件ずつの移動は書けても、1日に何十品目も動く模様替えで一気に崩れます。記録係を1人決めて、作業と同時に書く形にしておきます。あとで思い出して書くことはできません。

その2:現場に台帳を直させる

現場にパソコンの台帳を直させると、そこで止まります。現場は紙に書くだけ、更新は事務所がまとめてという分担にすると、両方が回ります。

その3:仮置きまで全部記録しようとする

一時的に置いた場所まで記録すると、手間が増えて続きません。仮置き場に棚番を振っておいて、本置きの変更だけ記録する形が現実的です。仮置き場を週に一度空にすると決めておきます。

おまけ:移動の記録は棚卸の日程にも効く

移動が多い区画は、棚卸でも差異が出やすい区画です。移動の記録から、区画ごとの移動件数を数えてみると、循環棚卸で重点的に回すべき場所が見えてきます。移動の記録は、探すためだけのものではありません。棚番を振り直す判断にも、循環棚卸の周回の重みづけにも使えます。

棚移動の記録は、3項目を書くだけの作業です。それでも書かれないなら、書く場所か書くきっかけに原因があります。棚の横に用紙を置くところから始められます。まずは1週間、書けるかどうかを試してみてください。

よくある質問

Q. 棚移動の記録には、何を書けばいいですか?
移動元の棚番、移動先の棚番、理由の3つで足ります。日付と担当者を足しても5項目です。数量は原則書きません。棚移動は場所を変えるだけで数は変わらないので、数量を書かせると入出庫と混同されます。
Q. 仮置きした場所も記録すべきですか?
記録しなくて構いませんが、仮置き場にも棚番を振っておいてください。仮置き場を「無い場所」にすると、そこにある物が行方不明になります。あわせて、週に一度は仮置き場を空にすると決めておくと、そこが常設の置き場所になりません。
Q. 模様替えのときに記録が追いつきません。
記録係を1人決めて、動かす人が声をかける形にしてください。全員が動かして全員が書く形は必ず抜けます。作業前に棚の写真を数枚撮っておくと、記録が抜けたときの手がかりになります。
Q. 棚移動の記録は、棚番の一覧とは別に必要ですか?
役割が違うので両方持ちます。棚番の一覧は上書きしていく現在の姿、移動の記録は足していく履歴です。棚卸で差が出たときに、いつ動かしたかを追えるのは履歴のほうです。
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