発注と仕入

仕入先の管理 - リードタイムと最低発注数を1か所に

公開 2026-08-30 執筆 在庫板 編集部

この材料はどこから買っているのか、最低いくつから注文できるのか、何日で届くのか。これらが担当者の記憶にあるうちは、その人が休んだ日に発注が止まります。

仕入先の管理というと大きな話に聞こえますが、最初にやるのは、頭の中にある条件を1枚の表に出すことです。この記事では、仕入先の管理を台帳から始める形で整理します。見積りを比べるときの使い方は相見積もりの比較方法にまとめました。

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この記事の内容(10項目)

仕入先の管理は1社1行から始まる

仕入先の管理は、まず1社1行の台帳を作るところからです。項目は多くありません。

項目書き方使いどころ
会社名・担当者・連絡先電話とメール。担当者が複数なら両方問い合わせのとき
取り扱う品目主要なものだけでよい何を頼めるかが分かる
最低発注数・発注の単位品目ごとに違うなら代表的なもの発注量を決めるとき
リードタイム回答ではなく実績の日数発注点の計算に使う
支払条件締め日、支払日、方法資金繰りの見通し
発注の方法メール・FAX・Web・電話誰でも発注できるようになる
備考対応の特徴、注意点引き継ぎのときに効く

発注の方法を必ず書く

意外と忘れられるのがここです。どこへ、どの形式で発注するかが書いてあれば、担当以外の人でも発注できます。宛先のメールアドレスまで書いておきます。

リードタイムは実績を書く

仕入先が言う納期ではなく、過去の発注日と入荷日の差を書きます。この数字が発注点の計算に直結します。

備考が引き継ぎの決め手になる

「木曜の午後は電話がつながりにくい」「急ぎは担当者の携帯へ」といった情報は、台帳の項目にはなりませんが、実務では効きます。備考に自由に書ける欄を作っておきます。

情報をどこから集めるか

仕入先の管理の台帳は、ゼロから調べる必要はありません。すでにある情報を集めます。

情報の出どころ
発注書・注文書発注の方法と品目
納品書・請求書支払条件と単価
入荷の記録実際のリードタイム
担当者に聞く残りの条件
3つ目までは書類から埋まる。担当者に聞くのは最後の穴埋めだけ

まず書類から埋める

過去1年ぶんの発注書と請求書を見れば、取引のある仕入先と支払条件はほぼ埋まります。担当者の時間を使うのは、残った空欄だけにします。

リードタイムは入荷の記録から出す

発注日と入荷日の記録があれば、その差が実績のリードタイムです。3回ぶんも見れば傾向が分かります。記録が無い場合は、これから取り始めます。

1日で全部を埋めようとしない

取引先が50社あると、1日では終わりません。金額の大きい上位10社から始めると、その日のうちに効果が出ます。

最低発注数と発注の単位を押さえる

仕入先の管理で、発注のたびに効いてくるのがこの2つです。

状況起きること台帳にあれば
最低発注数を知らずに発注する希望より多く納品される必要量と最低数を比べて判断できる
発注の単位が箱なのに本数で頼む数量が合わない。訂正のやりとりが発生する最初から正しい単位で頼める
ロットの刻みを知らない中途半端な数で頼んで断られる刻みに合わせて頼める

最低発注数が多い品目は在庫が増える

必要なのが30個でも最低発注数が100個なら、70個は在庫として残ります。この情報が台帳にあると、発注の前に対策を考えられます。他の仕入先を当たる、次回分とまとめる、といった判断です。

条件の交渉も台帳から始まる

最低発注数を下げてもらえないか、という相談は、現状が分かっていないとできません。年間の発注量と最低発注数を並べて示すと、話が具体的になります。

過剰在庫の原因として見る

不動在庫の原因をたどると、最低発注数にたどり着くことがあります。捨てている品目の最低発注数を確認すると、入口の問題が見つかります。

複数の仕入先を持つかどうか

仕入先の管理では、1品目につき何社と取引するかも判断が要ります。

1社に集約する

取引条件が良くなりやすい。
事務の手間が少ない。
その1社が止まると調達も止まる

2社以上を確保する

条件は分散する。
事務の手間が増える。
片方が止まってももう一方から調達できる

止まると困る品目だけ2社にする

すべての品目で複数の仕入先を持つ必要はありません。欠品すると作業が止まる品目だけ、代わりの調達先を確保しておきます。

取引が無くても連絡先を持っておく

実際に発注していなくても、いざというときに頼める先の連絡先を台帳に持っておくだけで違います。過去に見積りを取った先も候補になります。

年に1回、条件を見直す機会を作る

同じ仕入先と長く取引していると、条件が古いまま続いていることがあります。年に1回、主要な品目だけ相見積もりを取ると、水準が確認できます。

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取引の実績を台帳に足していく

仕入先の管理は、条件を書いて終わりではありません。実績を足していくと、判断の材料になります。

足していく情報どこから使いどころ
納期の実績発注日と入荷日の差発注点の計算。仕入先の見直し
納期遅延の回数納期回答の記録余裕を持たせる判断
入荷不良の件数入荷検品の記録検品を全数に戻すかの判断
年間の発注金額請求の集計条件交渉の材料
対応の速さ問い合わせのときの印象急ぎのときに頼る先

年間の発注金額は交渉の材料になる

「年間これだけ発注しています」と示せると、条件の相談がしやすくなります。請求の集計から年に1回出すだけで、材料になります。

数字は責めるためではなく決めるために使う

納期遅延の回数を数えるのは、仕入先を責めるためではありません。発注をどれだけ早めるか、在庫をどれだけ厚くするかを決めるためです。

年に1回、台帳を見直す

担当者が変わった、条件が変わった、取引が終わった。年に1回、台帳を上から見て更新するだけで、生きた情報が保てます。

担当者の記憶から台帳へ移す

仕入先の管理でいちばんの目的は、特定の人しか知らない状態をなくすことです。

記憶にありがちな情報台帳のどこに書くか
この品目はA社にしか頼めない取り扱う品目の欄
B社は急ぎに強い備考
C社は月末の発注が通りにくい備考
D社の担当者は木曜が休み連絡先の欄
E社は10個単位でしか頼めない発注の単位の欄

備考欄を広く取る

定型の項目に収まらない情報こそ、実務では効きます。備考を1行に制限せず、書きたいだけ書ける形にしておきます。

引き継ぎのときに一緒に見る

担当が変わるときに台帳を一緒に見ながら説明すると、抜けている情報が出てきます。引き継ぎの場で台帳を更新するのが、いちばん効率的な埋め方です。

発注できる人を増やす

台帳が整っていれば、担当以外の人でも発注できます。担当者が休んでも止まらない状態が、仕入先の管理の実利です。注文残の管理と合わせると、さらに引き継ぎやすくなります。

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取引を見直すときの材料にする

仕入先の管理を続けていると、取引を見直す判断が必要になる場面が出てきます。

見直しを考える状況見る数字
納期の遅れが続いている納期遅延の回数と平均の遅れ日数
入荷不良が多い検品での不良件数
価格が上がった単価の推移。相見積もりの結果
最低発注数が実態に合わない年間の使用量と最低発注数
担当者の対応が変わった備考の記録

数字を示して相談する

取引を切る前に、まず相談する余地があります。「直近半年で納期の遅れが5回ありました」と数字で伝えると、改善につながることがあります。

切り替えには手間がかかる

新しい仕入先に切り替えると、初回の検品を厚くする、条件を確認し直す、といった手間が発生します。切り替えの手間と、続けた場合の損失を比べて判断します。

関係は台帳に残らない部分もある

長い取引で融通が利く、急ぎに対応してくれる、といった要素は数字になりません。備考に書き残しておくと、判断のときに思い出せます。

新しい仕入先を登録するときの手順

仕入先の管理は、新しい取引先が増えたときに更新されないと、そこから古くなります。

タイミングやること
初回の見積りを取ったとき会社名と連絡先、取り扱う品目を仮登録する
初回の発注をしたとき発注の方法、最低発注数、支払条件を書く
初回の入荷があったとき実際のリードタイムを書く。検品の結果も残す
3回目の取引が終わったとき納期と品質の傾向を備考に書く

見積りの段階で仮登録する

発注してから登録しようとすると、忘れます。見積りを依頼した時点で1行作っておくと、そのあとは埋めていくだけになります。

3回で傾向が見える

納期を守るか、品質が安定しているか。3回の取引でおおよその傾向は出ます。そこで備考に一言残すと、次からの判断が速くなります。

取引が終わった先も消さない

取引が無くなった仕入先の行を消すと、いざというときに連絡先が分かりません。「取引休止」の状態にして残しておくと、再開のときに使えます。

仕入先の管理でつまずきやすい3つ

その1:完璧な台帳を作ろうとする

全取引先の全項目を埋めようとすると、途中で止まります。金額の大きい上位10社から、書類で分かる範囲だけで始めてください。空欄は埋まってから足します。

その2:発注の方法を書いていない

条件は書いてあるのに、どこへどう発注するかが書いていない台帳をよく見ます。宛先と形式まで書くと、担当以外の人でも発注できるようになります。

その3:一度作って更新していない

担当者が変わり、条件が変わり、単価が変わります。年に1回、上から見て更新する日を決めると、生きた情報が保てます。更新されていない台帳は、無い台帳より判断を誤らせます。

仕入先の管理は、1社1行の表を作るところから始まります。頭の中にある条件を紙に出す。それだけで、担当者が休んでも発注が止まらなくなります。

よくある質問

Q. 仕入先の台帳には、何を持たせればいいですか?
会社名と連絡先、取り扱う品目、最低発注数と発注の単位、リードタイム、支払条件、発注の方法、備考の7つで足ります。特に発注の方法(どこへどの形式で送るか)は忘れられがちですが、担当以外の人が発注するときに必要になります。
Q. リードタイムは、仕入先が言う納期を書けばよいですか?
実績を書いてください。過去の発注日と入荷日の差を3回ぶんも見れば傾向が分かります。回答の日数で発注点を計算すると、遅れがちな品目で毎回欠品します。
Q. 取引先が多くて台帳を作りきれません。
金額の大きい上位10社から始めてください。過去1年ぶんの発注書と請求書を見れば、取引先と支払条件はほぼ埋まります。担当者に聞くのは、書類から分からなかった空欄だけにすると1日で立ち上がります。
Q. 1つの品目につき、複数の仕入先を確保すべきですか?
欠品すると作業が止まる品目だけで構いません。すべての品目で複数持つと事務の手間が増え、条件も分散します。実際に発注していなくても、いざというときに頼める先の連絡先を台帳に持っておくだけでも違います。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。