サンプルの貸出管理 - 出したまま数が消えない形
営業が持っていったサンプルが戻ってこない。誰がどこへ持っていったかも分からない。棚には在庫があることになっているのに、現物が見つからない。サンプルの貸出管理が無いと、在庫の数だけが残ります。
サンプルは、売るためのものなので出し惜しみはできません。ただ、出したまま追わないと、在庫と実物が合わなくなり、必要なときに手元にない状態になります。この記事では、サンプルの貸出管理を回収まで追う形で整理します。返ってくる前提の容器の管理は通い箱とパレットの回収管理にまとめました。
この記事の内容(10項目)
- サンプルの貸出管理は「1件1行」で追う
- 結果の欄を3つで持つ
- 持っていった人の名前を必ず書く
- 目的で返却の見込みが変わる
- 出すときにやること
- 出庫として消さない
- 返却の期限を先方に伝える
- 高額なものは状態を残す
- 貸出中の管理
- 営業担当ごとにまとめて確認する
- 3か月を1つの線にする
- 営業を責めない
- 回収するときの判断
- 販売用とサンプル用を分ける
- 買い取ってもらう場合は売上として処理する
- 紛失は紛失として閉じる
- サンプル用の在庫を分けて持つ
- よく貸すものだけ分ければよい
- サンプル用の数を決めておく
- 古くなったサンプルは入れ替える
- 預り品との違い
- 方向が逆なだけで、追い方は同じ
- 混ぜて管理しない
- 棚卸のときの扱い
- 貸出中の数を別に把握する
- 長期貸出は評価の対象になることがある
- 棚卸の前に一度回収をかける
- 貸出の記録を営業の材料にする
- 返却予定日はフォローの合図にもなる
- 買い取りの割合を見る
- サンプルの貸出管理でつまずきやすい3つ
- その1:出庫として在庫から消す
- その2:返却予定日を空欄にする
- その3:回収を営業の責任にする
- おまけ:展示会に持ち出す分もまとめて1行にする
- よくある質問
サンプルの貸出管理は「1件1行」で追う
サンプルは在庫と違って、数量ではなく案件ごとに追います。誰に、いつ、何を出したかが分かる形にします。
| 項目 | 書き方 | 無いと |
|---|---|---|
| 貸出日 | 日付 | 何日出ているか分からない |
| 貸出先・担当者 | 取引先名と先方の担当 | 回収の連絡先が分からない |
| 持っていった人 | 自社の営業担当 | 社内で聞く相手がいない |
| 品目・数量 | 在庫の品目コードと揃える | 在庫側と照合できない |
| 目的 | 試用・展示・検討用 | 返却の見込みが判断できない |
| 返却予定日 | 目安でよいので必ず入れる | 期限が無く放置される |
| 結果 | 返却・買い取り・紛失 | 案件が閉じない |
結果の欄を3つで持つ
サンプルの貸出管理では、戻ってくるとは限りません。返却・買い取り・紛失の3つを選べるようにしておくと、どの案件も閉じられます。
持っていった人の名前を必ず書く
取引先だけでは、社内で状況を聞けません。営業担当の名前があると、回収の話が進みます。
目的で返却の見込みが変わる
試用のために貸したものは戻ってきますが、展示用に置いてきたものはそのままになりがちです。目的が分かると、催促の優先順位が決まります。
出すときにやること
サンプルの貸出管理は、出すときの1分で決まります。あとから追加はできません。
出庫として消さない
サンプルを出庫として処理すると、在庫からは消えて、戻ってきたときに行き場がなくなります。貸出として別に持つと、社内在庫と貸出中の数が両方見えます。
返却の期限を先方に伝える
「見ておいてください」だけで渡すと、返す理由がありません。「1か月後に一度ご連絡します」と伝えておくだけで、回収の連絡がしやすくなります。
高額なものは状態を残す
デモ機や実物のサンプルは、戻ってきたときに傷の話になることがあります。出すときに写真を1枚撮っておくと、事実の確認になります。
貸出中の管理
サンプルの貸出管理で手間をかけたくないのは、貸出中の期間です。ここは月1回の確認で足ります。
| やること | 頻度 | 時間 |
|---|---|---|
| 返却予定日を過ぎた行を見る | 月1回 | 5分 |
| 営業担当にまとめて確認する | 月1回 | 10分 |
| 3か月以上出ているものを報告する | 月1回 | 5分 |
| 社内在庫と貸出中の合計を確認する | 棚卸のとき | 棚卸に含める |
営業担当ごとにまとめて確認する
1件ずつ聞くと、催促のように受け取られます。担当ごとに、いま出ているサンプルの一覧を渡す形にすると、確認の依頼になります。
3か月を1つの線にする
3か月以上出たままのサンプルは、返ってこない可能性が高くなります。買い取ってもらうか、回収するかを判断する時期として扱います。
営業を責めない
サンプルは売るために出すものなので、回収を厳しくすると営業が出し渋ります。在庫の把握が目的だと伝えると、記録が続きます。
回収するときの判断
サンプルの貸出管理は、回収して初めて閉じます。戻ってきたサンプルをどうするかも決めておきます。
| 戻ってきた状態 | 扱い |
|---|---|
| 未開封・きれい | 在庫に戻す。入庫として1行通す |
| 開封済みだが再度貸せる | サンプル用の在庫として別に持つ |
| 使用感がある・汚れている | サンプル専用にする。販売用には戻さない |
| 破損している | 不良として処理する。原因を先方に確認する |
販売用とサンプル用を分ける
一度貸し出したものを販売用の在庫に戻すと、お客様に使用感のあるものが届くことがあります。サンプル用の在庫を別に持つと、この事故が防げます。
買い取ってもらう場合は売上として処理する
気に入って購入となった場合、貸出の記録を「買い取り」で閉じて、通常の出荷として処理します。在庫からはすでに出ているので、二重に引かないよう気をつけます。
紛失は紛失として閉じる
戻ってこないまま何年も行が残っていると、一覧が使えなくなります。一定期間を過ぎたら紛失として閉じて、在庫から落とすと決めておきます。件数が分かれば、次の対策も考えられます。
サンプル用の在庫を分けて持つ
サンプルの貸出管理を続けていると、サンプル専用の在庫を持つほうが楽だと分かってきます。
販売用の在庫から出す
在庫を分けなくてよい。出るたびに販売用が減る。
戻ってきたものが販売用に混ざる。
サンプル用を別に持つ
在庫の行が増える。販売用の数が正確になる。
使用感のあるものがお客様に届かない。
よく貸すものだけ分ければよい
全品目でサンプル在庫を持つ必要はありません。貸出の記録を見て、よく出ている上位の品目だけを分けます。
サンプル用の数を決めておく
サンプル用に何個持つかを決めておくと、足りなくなったときに補充の判断ができます。貸出中の数と社内にある数を足して、決めた数になっているかを月に1回見ます。
古くなったサンプルは入れ替える
何度も貸し出したサンプルは、見た目が落ちます。年に1回、サンプル在庫の状態を見て入れ替えると、営業の場面で困りません。
預り品との違い
サンプルの貸出管理は、預り品の管理と形が似ています。違いを押さえておくと、様式を使い分けられます。
| サンプル貸出 | 預り品 | |
|---|---|---|
| 持ち主 | 自社 | お客様 |
| 方向 | 自社から出す | 自社に入ってくる |
| 戻らない場合 | 買い取り・紛失として処理 | 返す義務が残る |
| 在庫への影響 | 自社の在庫が減る | 自社の在庫には入れない |
方向が逆なだけで、追い方は同じ
どちらも1件1行で、出た日と戻った日を書きます。返却予定日を必ず入れるのも共通です。預り品の管理は預り品の管理方法にまとめています。
混ぜて管理しない
同じ表でサンプルと預り品を扱うと、自社の在庫かどうかが分からなくなります。表を分けるほうが、棚卸のときに迷いません。
棚卸のときの扱い
貸出中のサンプルは倉庫にありません。棚卸のときの扱いを決めておかないと、差異になります。
貸出中の数を別に把握する
棚卸で数えるのは倉庫にある分だけです。貸出中の数を貸出の記録から出して、合計が帳簿と合うかを見ます。ここが合わなければ、記録漏れか紛失です。
長期貸出は評価の対象になることがある
何年も戻っていないサンプルは、実質的に無いものです。期末に一覧を出して、処理を決めると、在庫の数字が実態に近づきます。会計上の扱いは経理と確認してください。
棚卸の前に一度回収をかける
棚卸の前に「貸出中のサンプルで返却できるものはありませんか」と担当に確認すると、いくつかは戻ってきます。数える対象が減り、差異も減ります。
貸出の記録を営業の材料にする
サンプルの貸出管理は、在庫の把握だけでなく、営業の状況を映す記録にもなります。
| 見えること | 使いどころ |
|---|---|
| どの品目がよく貸し出されるか | 関心の高い商品が分かる。サンプル在庫を厚くする |
| 貸出から受注までの期間 | フォローの時期の目安になる |
| 貸出したまま動いていない案件 | 営業のフォロー漏れが見える |
| 買い取りにつながった割合 | サンプルを出す効果が分かる |
返却予定日はフォローの合図にもなる
返却の期限が来たときは、先方に連絡する自然なきっかけです。回収の連絡と、検討状況の確認を一緒にできます。営業にとっても使える情報になります。
買い取りの割合を見る
貸し出したサンプルのうち、どれだけが受注につながったかが分かると、サンプルを出すこと自体の効果が判断できます。数字があると、サンプル在庫を増やす相談もしやすくなります。
サンプルの貸出管理でつまずきやすい3つ
その1:出庫として在庫から消す
サンプルを出庫として処理すると、戻ってきたときに行き場がありません。貸出として別に持つと、社内にある数と貸出中の数が両方見えます。
その2:返却予定日を空欄にする
いつまでという期限が無いサンプルは、まず戻ってきません。目安でよいので必ず入れて、先方にも伝えるだけで、回収の連絡がしやすくなります。
その3:回収を営業の責任にする
厳しく追及すると、営業がサンプルを出し渋るようになります。在庫を把握することが目的だと伝えて、担当ごとの一覧を渡す形にすると、記録が続きます。
おまけ:展示会に持ち出す分もまとめて1行にする
展示会や商談会に持っていくサンプルは、数が多くなります。1点ずつではなく「○○展示会用」として1行にまとめ、戻ってきた数を書く形にすると、記録の手間が現実的になります。戻らなかった分だけ、あとから内訳を追えば足ります。
サンプルの貸出管理は、出すときの1行と、月に1回の一覧確認で回ります。売るために出すものなので、止めるのではなく追える形にすることが要点です。
よくある質問
- Q. 貸し出したサンプルは、在庫から出庫として消すべきですか?
- 貸出として別に持つほうが扱いやすくなります。出庫として消すと、戻ってきたときに行き場がなく、社内にある数と貸出中の数も分からなくなります。貸出中の数が見えていれば、棚卸のときの照合もできます。
- Q. 戻ってきたサンプルは、販売用の在庫に戻してよいですか?
- 未開封できれいなものは戻せますが、使用感があるものはサンプル専用にしてください。販売用に混ぜると、お客様に使用感のあるものが届くことがあります。よく貸す品目だけサンプル用の在庫を別に持つと、この事故が防げます。
- Q. 何年も戻ってこないサンプルは、どう処理すればいいですか?
- 一定期間を過ぎたら紛失として閉じ、在庫から落とすと決めておいてください。行が残り続けると一覧が使えなくなります。件数が分かれば、貸出のときの伝え方を見直す材料にもなります。会計上の扱いは経理にご確認ください。
- Q. 営業に回収を頼みづらいのですが、どうすればいいですか?
- 1件ずつ聞くと催促に受け取られるので、担当ごとに「いま出ているサンプルの一覧」を月に1回渡す形にしてください。目的は在庫の把握だと伝えると、確認の依頼として受け取ってもらえます。厳しくしすぎると、営業がサンプルを出し渋るようになります。
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