入替と処分

返品対応の流れ - 戻ってきた品物を在庫に戻すか決める

公開 2026-08-30更新 2026-10-03 執筆 在庫板 編集部
在庫板 編集部法令の原文と省庁の資料で確認:2026年10月3日

返品された品物が倉庫に届いたが、良品なのか不良なのかが分からないまま棚の隅に置かれている。返品対応でいちばん多い詰まりは、戻ってきた現物の行き先が決まらないことです。返金や交換の話は進んでいるのに、物だけが残ります。

一般には、返品は受付・現物の確認・処理の決定・清算という流れで進みます。この記事では、返品対応の流れを4段階に分け、それぞれ誰が何を決めるか、そして在庫に戻せるかどうかの線引きを整理します。不良品として扱う場合の動きは不良品を見つけたときの流れにまとめました。

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この記事の内容(12項目)
  1. 返品対応の流れは4段階
  2. 物の側が置き去りになりやすい
  3. 受付の時点で管理番号を振る
  4. 返品を受けるかどうかは受付で決める
  5. 返品の理由を分けて記録する
  6. 理由ごとに件数を数える
  7. 輸送中の破損は別の手続きが要る
  8. 客先都合の返品も記録する
  9. 在庫に戻せるかどうかの線引き
  10. 戻せる条件を先に書いておく
  11. 判定が付くまでは棚に戻さない
  12. 戻したことを在庫の記録に残す
  13. 返金・交換・値引きの分け方
  14. 交換は「出したか」まで追う
  15. 値引きで済ませるときも記録を残す
  16. 返品の可否を決める基準を社内で揃える
  17. こちらから返品する場合
  18. 仕入先への返品は早いほど通る
  19. 送った記録を残す
  20. 返金や交換の結果まで追う
  21. 返品を減らす側の手当て
  22. 品違いと数量違いは出荷前で止められる
  23. 破損は梱包と積み方に返す
  24. 件数を月次で1つだけ見る
  25. 返品の受付でそろえる情報
  26. 納品書の番号を聞く
  27. 開封の有無をその場で聞く
  28. 受付の窓口を1つにする
  29. 返品対応でつまずきやすい3つ
  30. その1:現物の行き先が決まらない
  31. その2:判定前に良品の棚へ戻す
  32. その3:在庫の記録を更新していない
  33. 返品対応の流れにかかわる最近の動き(2026年10月時点)
  34. 返品対応の流れに出てくる用語
  35. 返品対応の流れと一緒に押さえておきたいこと
  36. 仕入先へ返すときは、相手が中小受託事業者かを見る
  37. 1万円以上の返品は、返還インボイスを出す
  38. 通信販売の返品は、表示した特約が先に来る
  39. よくある質問

返品対応の流れは4段階

返品対応の流れは、話(清算)と物(現物)の2本が並行して進みます。どちらか片方だけが進むと、あとで合わなくなります。

段階話の側物の側
1. 受付理由を聞く。返品を受けるか決めるまだ動かない
2. 現物の確認回収の方法と費用を決める戻ってきた品物を確認する
3. 判断返金・交換・値引きを決める在庫に戻す・不良・廃棄を決める
4. 清算伝票を切る。入金や支払を処理する在庫の記録を更新する

物の側が置き去りになりやすい

返金の処理は経理が進めるので、忘れられません。忘れられるのは現物のほうです。返品の記録に「現物をどうしたか」の欄を作っておくと、両方が閉じます。

受付の時点で管理番号を振る

返品は1件ごとに追う必要があります。受け付けた時点で番号を振っておくと、現物にもその番号を貼れて、話と物が結びつきます。

返品を受けるかどうかは受付で決める

現物が届いてから受けるかどうかを考えると、判断が付かないまま置かれます。受付の時点で、受けるか受けないかを決めて伝えるのが原則です。

返品の理由を分けて記録する

返品対応の流れを整えるうえで、理由の分類は最初に決めておきます。理由によって、あとの動きがまったく変わります。

理由誰の責任か現物の扱い
品違い・数量違いこちら側未使用なら在庫に戻せることが多い
不良・破損こちら側または運送不良として隔離する
輸送中の破損運送業者梱包ごと保管して申し出る
客先都合(発注ミス・不要になった)客先状態を見て在庫に戻すか決める
期限切れ・保管の問題状況による在庫に戻さない

理由ごとに件数を数える

返品対応の流れが回り始めたら、理由の内訳を見ます。品違いが多いなら出荷前の確認、破損が多いなら梱包や積み方に手を入れることになります。理由を分けずに数えると、どこに手を打つか決まりません。

輸送中の破損は別の手続きが要る

運送中に壊れた場合、運送業者への申し出には期限があります。商法では、荷受人が異議をとどめずに受け取ると運送人の責任は消えるとされ、外から直ちに分からない損傷でも、引渡しの日から2週間以内に通知を出す必要があるとされています(商法584条1項)。梱包材ごと現物を保管して、写真を撮る。ここを飛ばすと補償の話ができなくなります。手順は輸送中に破損したときの対応にまとめています。

客先都合の返品も記録する

受け入れる場合でも、理由と条件は記録に残します。次に同じ依頼が来たときの判断材料になります。受け入れた回数が多い取引先には、条件の見直しを相談する材料にもなります。

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在庫に戻せるかどうかの線引き

返品対応の流れで判断が分かれるのが、ここです。線を決めておかないと、担当者ごとに扱いが変わります。

戻ってきた現物の行き先
状態を見る未使用か、開封済みか
→
判定良品・要手直し・不良
→
行き先棚へ戻す/隔離/廃棄
→
記録在庫の数を更新する
判定が付くまでは、良品の棚に置かない

戻せる条件を先に書いておく

未開封であること、期限が一定以上残っていること、外装に汚れがないこと。この3つくらいを条件として書いておくと、現場で迷いません。条件を満たさないものは、不良の扱いに回します。

判定が付くまでは棚に戻さない

返品された品物をそのまま良品の棚に戻すと、状態を確認しないまま出荷されます。返品の受入区画を作って、判定が付いてから移す形にします。

戻したことを在庫の記録に残す

返品で在庫が増える場合、入庫として1行通します。区分を「返品戻し」にしておくと、通常の入庫と区別できます。ここを飛ばすと棚卸で差異になります。

返金・交換・値引きの分け方

返品対応の流れで、話の側の結論は3つに分かれます。どれを選ぶかは、理由と取引の関係で決めます。

処理選ぶ場面気をつけること
交換同じ品物が必要。在庫がある交換品の出荷を忘れない。納期を伝える
返金不要になった。代わりが無い伝票の処理と在庫の処理を両方行う
値引き使えるが状態が基準に満たない客先の合意を記録に残す

交換は「出したか」まで追う

交換すると決めた時点で完了にすると、代わりの品物が出ていないことがあります。交換品の出荷日を書く欄を作って、そこが埋まって初めて閉じます。

値引きで済ませるときも記録を残す

その場の口頭で値引きを決めると、あとで金額の話が食い違います。合意した内容と金額を記録に書くだけで、この場面が防げます。

返品の可否を決める基準を社内で揃える

担当者によって受ける・受けないが変わると、取引先が混乱します。受付の段階で参照できる基準を1枚にしておくと、判断が揃います。例外を認めるときは、誰が認めたかを記録します。

こちらから返品する場合

返品対応の流れには、客先から受ける側と、仕入先へ返す側の2つがあります。どちらも同じ記録で追えます。

客先からの返品

受付から始まる。
現物が戻ってくる。
在庫が増える方向。

仕入先への返品

こちらから連絡する。
現物を送る。
在庫が減る方向。

仕入先への返品は早いほど通る

入荷から時間が経つほど、返品は受けてもらいにくくなります。入荷検品で見つけたものは、その日のうちに連絡するのが基本です。使わないと決めた材料の返品も、早い段階で相談します。

送った記録を残す

返品として送ったのに処理されていない、ということが起こります。発送日、伝票番号、送った数量を記録に残しておくと、催促のときに使えます。

返金や交換の結果まで追う

返品したまま、返金も交換も来ていない案件が残ることがあります。結果の欄が空欄の行を月に1回見るだけで、取りこぼしが減ります。

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返品を減らす側の手当て

返品対応の流れが回り始めたら、件数そのものを減らす手当てに移ります。理由の内訳がそのまま手がかりになります。

多い理由手を入れる場所
品違い出荷前の確認。品目名と型番の表示
数量違いピッキングの方法。出荷前の数の確認
輸送中の破損梱包の仕様。積み方と固縛
客先の発注ミス注文受付時の確認。品番の読み合わせ
納期遅れによる不要化納期の管理。遅れそうなときの早めの連絡

品違いと数量違いは出荷前で止められる

返品の理由で件数が多いこの2つは、車に積む前の確認でほとんど止まります。返品1件の手間と、出荷前の確認1分を比べれば、確認のほうが圧倒的に安い作業です。手順は誤出荷を防ぐ方法で扱っています。

破損は梱包と積み方に返す

同じ品目で破損の返品が続くなら、梱包の仕様か積み方に原因があります。返品の記録に「どの部分が壊れていたか」を書いておくと、対策が具体的になります。

件数を月次で1つだけ見る

細かい分析より、返品の件数と理由の上位3つだけを月次で見る形にすると続きます。増えた月に何があったかを聞くという使い方で十分です。

返品の受付でそろえる情報

返品対応の流れは、受付で聞くことが決まっていると、その後が速くなります。あとから電話をかけ直す回数が減ります。

聞くこと理由
いつ納品したものか納品書の番号が分かれば、出荷の記録に当たれる
品目と数量全数か一部かで、対応の重さが変わる
返品の理由誰の責任かで、費用の負担先が変わる
開封しているか在庫に戻せるかどうかの判断材料
いつまでに結論が要るか急ぎかどうかで、社内の動きが変わる
回収の方法の希望引き取りに行くか、送ってもらうか

納品書の番号を聞く

「先月納めたあれ」から始めると、出荷の記録を探すだけで時間がかかります。納品書の番号か、納品した日付を最初に聞くだけで、確認が数分で済みます。

開封の有無をその場で聞く

在庫に戻せるかどうかは、現物を見る前におおよそ判断できます。開封済みだと分かっていれば、戻ってくる前に不良の扱いを準備できます。

受付の窓口を1つにする

営業・事務・倉庫のどこに連絡が入っても受けられる形にすると、記録が分散します。どこで受けても同じ用紙に書くと決めておけば、窓口は複数でも構いません。

返品対応でつまずきやすい3つ

その1:現物の行き先が決まらない

返金の処理は進んでいるのに、品物だけが倉庫に残る。返品の記録に「現物をどうしたか」の欄を作ると、両方が閉じます。判定が付くまでの置き場所も先に作っておきます。

その2:判定前に良品の棚へ戻す

戻ってきた品物をそのまま棚に入れると、状態を確認しないまま再出荷されます。返品の受入区画を作って、判定が付いてから移す形にします。

その3:在庫の記録を更新していない

返品で増えた分、あるいは廃棄した分を在庫に反映しないと、棚卸で差異になります。返品戻しと不良処分の区分を作って、入出庫の記録に1行通します。

返品対応の流れは、話と物の2本を同じ番号でつないでおくことが要点です。片方だけ進んでいる案件を月に1回見る、それだけで滞留がなくなります。件数が少ない会社ほど記録を作らずに済ませがちですが、年に数件でも記録が残っていれば、理由の傾向は見えてきます。

返品対応の流れにかかわる最近の動き(2026年10月時点)

返品対応の流れのうち、清算の側と、仕入先へ返す側の決まりが2023年以降に変わっています。在庫の現物の扱いそのものを決めた法令はありませんが、伝票と取引の決まりは押さえておく必要があります。日付順に並べます。

時期できごと根拠
2023年10月1日インボイス制度が始まる。適格請求書発行事業者が返品で代金を返したり減額したりしたときは、相手の事業者に返還インボイス(適格返還請求書)を交付する。ただし返還する税込価額が1万円未満なら交付しなくてよい消費税法57条の4第3項、同施行令70条の9第3項2号
2025年5月23日下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律(令和7年法律第41号)が公布。施行の日から、法律名が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(取適法)に変わる公正取引委員会、取適法 附則
2026年1月1日取適法が施行。「親事業者・下請事業者」は「委託事業者・中小受託事業者」に呼び方が変わり、運送の委託(特定運送委託)も対象に入る。受け取った物を、相手の責めに帰すべき理由がないのに引き取らせること(返品)は引き続き禁止取適法2条・5条1項4号

ポイントはここです。返品対応の流れの4段階目(清算)では、返金の伝票と返還インボイスをセットで処理すると、経理と倉庫の記録が合います。返品の記録に「返還インボイスの交付日」の欄を足しておくと、1万円以上の返品で交付漏れが起きにくくなります。

出典:公正取引委員会 取適法、e-Gov法令検索(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)、e-Gov法令検索(消費税法)、e-Gov法令検索(消費税法施行令)、e-Gov法令検索(商法)。確認日は2026年10月3日です。取適法の当てはまり方は公正取引委員会または中小企業庁の相談窓口に、インボイスの扱いは所轄の税務署にご確認ください。

返品対応の流れに出てくる用語

返品対応の流れでは、倉庫の言葉と、税や取引の法令の言葉が混ざります。どこで決まっている言葉かを添えて並べます。

用語意味出典
返品受け取った物を相手に引き取らせること。取適法では「給付を受領した後、中小受託事業者にその給付に係る物を引き取らせること」と書かれている。一般的な返品の定義は法令上ない取適法5条1項4号
返品戻し返品された品物を良品として在庫に戻す入庫の区分。社内の呼び方で、法令上の定義はない社内の基準
売上げに係る対価の返還等返品を受けたり値引きしたりして、売上げの代金を返したり減らしたりすること消費税法38条1項
返還インボイス(適格返還請求書)対価の返還等をしたときに、適格請求書発行事業者が相手に交付する書類。登録番号、返還等の年月日、元の取引の年月日、税率ごとの返還額などを書く消費税法57条の4第3項
委託事業者・中小受託事業者取適法で、製造などを委託する側と受ける側の呼び方。2025年までの下請法の「親事業者・下請事業者」にあたる取適法2条
返品特約通信販売で、返品を受けるかどうかの条件を広告に表示したもの。表示が無いときは、商品を受け取った日から8日以内なら購入者が返品でき、送料は購入者の負担特定商取引法15条の3
受入区画判定が付くまで返品の現物を置く場所。法令上の定義はない社内の基準

返品対応の流れと一緒に押さえておきたいこと

返品対応の流れは、物と話の2本に加えて、取引の決まりと税の手続きにも触れます。上位の記事であまり扱われていない点を3つ挙げます。

仕入先へ返すときは、相手が中小受託事業者かを見る

自社が製造や修理などを委託している相手が中小受託事業者に当たる場合、相手の責めに帰すべき理由がないのに受け取った物を引き取らせることは禁止されています(取適法5条1項4号)。「使わなくなった」「売れ残った」を理由にした返品はできないと考えてください。不良を理由に返すときも、どの時点で見つけた不良か、受入検査の記録が根拠になります。返品の記録に、入荷日と見つけた日を並べておくと説明できます。

1万円以上の返品は、返還インボイスを出す

自社が適格請求書発行事業者で、取引先の事業者に返品で代金を返したり減額したりした場合は、返還インボイスを交付すると定められています(消費税法57条の4第3項)。返還する税込価額が1万円未満なら交付しなくてよいとされています(同施行令70条の9第3項2号)。返品の記録に金額の欄があれば、1万円の線で交付の要否を判断できます。

通信販売の返品は、表示した特約が先に来る

個人のお客様に通信販売をしている場合、返品の可否は広告に表示した返品特約で決まります。特約の表示が無いときは、商品を受け取った日から8日以内なら購入者が契約を解除でき、返送の費用は購入者の負担とされています(特定商取引法15条の3)。返品の受付で使う基準の1枚に、通信販売用の特約の文面も載せておくと、窓口の答えがそろいます。

在庫板 編集部がまとめました様式を無料で配り、使い方と法令の決まりを記事にまとめています。法令の数字は e-Gov の原文で確かめてから載せています。

よくある質問

Q. 返品された品物は、そのまま在庫に戻してよいですか?
戻せる条件を先に決めておいてください。未開封であること、期限が一定以上残っていること、外装に汚れがないこと、といった線を書いておくと現場が迷いません。判定が付くまでは良品の棚に置かず、返品の受入区画に置きます。
Q. 返品で在庫が増えた場合、記録はどうしますか?
入出庫の記録に「返品戻し」の区分を作って、入庫として1行通してください。通常の入庫と区別できるようにしておくと、あとで返品の件数を数えられます。廃棄する場合も、出庫として1行通します。
Q. 仕入先への返品は、いつまでに連絡すべきですか?
早いほど通ります。入荷検品で見つけたものは、その日のうちに連絡するのが基本です。時間が経つほど、こちら側での取り扱いが原因ではないかという話になり、受けてもらいにくくなります。
Q. 交換で対応する場合、どこまで記録すればいいですか?
交換すると決めた日だけでなく、交換品を出荷した日まで記録してください。決定した時点で完了にすると、代わりの品物が出ていないまま案件が閉じることがあります。出荷日の欄が空欄の行を月に1回見る形にすると防げます。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-10-03時点のものです。