不良品を見つけたときの流れ - 隔離してから処置を決める
不良品を見つけたとき、まずやるのは原因を考えることではありません。良品と混ざらない場所へ移すことです。原因の話をしているあいだにも、同じ棚の品物は出荷されていきます。
一般には、不適合品は識別して区別し、意図しない使用や引き渡しを防ぐこととされています。この記事では、不良品を見つけたときの流れを隔離・記録・判定・処置の4段階に分け、現場で何をどこに置き、誰が決めるかを整理します。入荷の段階で見つける手順は入荷検品のやり方にまとめました。
この記事の内容(9項目)
- 不良品を見つけたら、隔離が最優先
- 隔離の区画を先に作っておく
- 表示は「良品ではない」が分かればよい
- 同じロットの在庫を確認する
- 不良品の記録に残す項目
- 不良の数と母数を両方書く
- 原因の欄は空けておく
- 発見した場面を分けて数える
- 判定を誰が決めるかを先に決める
- 判定の期限を決める
- 良品復帰の記録を残す
- 特別採用は必ず承認を取る
- 処置を最後まで実行する
- 実施日が入って初めて閉じる
- 在庫からの落とし方を決めておく
- 返品する場合は返品の記録につなげる
- 棚卸のときの不良品の扱い
- 不良品の在庫金額を見えるようにする
- 判定待ちと処置待ちを分ける
- 年に1回、隔離の区画を空にする
- 不良品の件数を数えて次につなげる
- 客先からの発見が多いなら、社内の検査が効いていない
- 件数を月次で1つのグラフにする
- 数える目的を共有しておく
- 不良品を出さない側の手当て
- 保管中の劣化は在庫管理の側で減らせる
- 期限切れは不良として数える
- 不良品の管理でつまずきやすい3つ
- その1:隔離の場所が決まっていない
- その2:判定の期限が無い
- その3:処置したのに在庫を落としていない
- よくある質問
不良品を見つけたら、隔離が最優先
不良品の隔離は、判断が要らない作業です。誰が見つけても同じ動きになるようにしておきます。
| 順 | やること | かかる時間 |
|---|---|---|
| 1 | 良品の棚から出して、隔離の区画へ移す | 1分 |
| 2 | 赤い札などで表示する(品目・数量・見つけた人) | 1分 |
| 3 | 記録に起こす(管理番号を振る) | 3分 |
| 4 | 同じロットの在庫を確認して、必要なら止める | 10分 |
隔離の区画を先に作っておく
不良品の隔離でいちばん多い失敗は、置き場所が決まっていないことです。床にテープで線を引いた1畳ぶんの区画があれば足ります。棚の一段でも構いません。無いと、通路の脇に置かれてそのうち戻されます。
表示は「良品ではない」が分かればよい
赤い札、赤いテープ、赤いかご。色を1つ決めて、それ以外に使わないと全員が分かります。詳しい内容は記録側に書けばよく、現物には最低限だけ貼ります。
同じロットの在庫を確認する
1つ見つかったら、同じロットに同じものがあると考えます。手を止めて全部を調べる必要はありませんが、在庫を止めるかどうかはその場で判断します。迷ったら止めておいて、あとから戻すほうが安全です。
不良品の記録に残す項目
不良品の隔離の記録は、あとで処置を決めるための材料です。原因の欄は空けておきます。
| 項目 | 書き方 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 管理番号 | 受け付けた時点で振る | 他の記録から参照する鍵 |
| 発見日・発見者 | 日付と名前 | 状況を確認する相手 |
| 発見した場面 | 入荷検品・工程内・出荷前・客先から | どこで止まったかが分かる |
| 品目・ロット・数量 | 不良の数と、確認した母数の両方 | 範囲の判断に使う |
| 不良の内容 | 「表面に長さ3mmの傷」のように数値で | あとから同じ判断ができる |
| 隔離場所 | 区画の名前 | 現物を探せる |
| 判定 | 未判定・不良確定・良品復帰・特採 | やりかけを残さない |
| 処置 | 返品・廃棄・手直し・使用可 | 実施の記録につなげる |
不良の数と母数を両方書く
「3個不良」だけでは、深刻さが分かりません。100個中3個なのか、5個中3個なのかで、次の動きが変わります。確認した母数を必ず書きます。
原因の欄は空けておく
見つけた時点で書けるのは推測です。原因を先に書くと、その推測に引っ張られます。原因の調査は別の段階として扱い、記録の欄も分けておきます。
発見した場面を分けて数える
入荷検品で見つけたのか、工程内なのか、客先から言われたのか。この内訳が、次に手を入れる場所を教えてくれます。客先からの発見が多いなら、社内の検査が効いていません。
判定を誰が決めるかを先に決める
不良品の隔離のあと、詰まるのは判定です。決める人が決まっていないと、隔離の区画に品物が溜まり続けます。
| 判定 | 意味 | 決める人の目安 |
|---|---|---|
| 不良確定 | 使えない。返品か廃棄へ | 品質の担当 |
| 良品復帰 | 基準内だった。棚に戻す | 品質の担当 |
| 手直し | 直せば使える | 品質の担当と製造 |
| 特別採用 | 基準は外れるが、条件付きで使う | 客先の承認が要ることが多い |
判定の期限を決める
3営業日以内に判定する、と決めておくと、隔離の区画が溢れません。期限を過ぎたものは一覧に出す形にしておきます。判定が難しいものほど放置されるので、ここは仕組みで押します。
良品復帰の記録を残す
調べた結果、基準内だったので棚に戻す。この場合も記録を残します。「戻した」という記録が無いと、あとで棚卸のときに数が合いません。戻した日と戻した人まで書きます。
特別採用は必ず承認を取る
基準を外れているものを使う判断は、自社だけでできないことがあります。客先の承認が要るのか、社内だけでよいのかを先に整理しておくと、その場で迷いません。承認の記録は必ず残します。
処置を最後まで実行する
不良品の隔離の記録が閉じない原因は、処置の欄が埋まらないことです。判定と処置は別の作業です。
実施日が入って初めて閉じる
判定した日で完了にすると、現物が残ります。実施日と実施者を書く欄を作り、そこが埋まって初めて閉じる形にします。月に1回、実施日が空欄の行を見るだけで溜まりません。
在庫からの落とし方を決めておく
不良として処分したものを在庫から落とし忘れると、棚卸で差異になります。入出庫の記録に「不良処分」の区分を作って、出庫として1行通すと、履歴も残ります。
返品する場合は返品の記録につなげる
仕入先へ返す場合は、返品としての手続きが別に発生します。不良の管理番号と返品の記録を結びつけておくと、返金や交換の結果まで追えます。進め方は返品対応の流れにまとめています。
棚卸のときの不良品の扱い
隔離した不良品は、棚卸のときにも良品と分けます。ここを混ぜると、翌月に消えます。
良品と一緒に数える
数える手間は変わらない。在庫の合計は合う。
使えない在庫が良品として計上される。
別の用紙で数える
用紙が1枚増える。不良の数量が独立して見える。
評価減の検討にそのまま使える。
不良品の在庫金額を見えるようにする
隔離の区画に何か月も置かれている品物は、金額としても在庫に残っています。棚卸で分けて数えておくと、処置が進んでいないことが数字で見えます。
判定待ちと処置待ちを分ける
同じ隔離の区画でも、判定がまだのものと、処置を待っているものでは詰まっている場所が違います。区画をさらに2つに分けるか、札の色を変えると、どちらが滞っているか分かります。
年に1回、隔離の区画を空にする
何年も置かれている不良品は、たいてい判断がされていないだけです。年に1回、隔離の区画にあるものを全部一覧にして、処置を決める機会を作ります。棚が空くという効果もあります。
不良品の件数を数えて次につなげる
不良品の隔離を続けていると、傾向が見えてきます。ここまで来ると、記録が改善の材料になります。
| 見る切り口 | 分かること | 次の手 |
|---|---|---|
| 発見した場面ごとの件数 | どこで止められているか | 止められていない工程に検査を入れる |
| 仕入先ごとの件数 | 入荷不良の偏り | 検品を全数に戻す。仕入先と共有する |
| 品目ごとの件数 | 作りにくい品目 | 作り方か規格を見直す |
| 不良の内容ごとの件数 | 同じ不良が繰り返していないか | 原因調査の対象にする |
客先からの発見が多いなら、社内の検査が効いていない
不良品の隔離の記録で、発見した場面の内訳を見ます。客先からの指摘が多い場合、社内で止められていないということです。出荷前の確認に手を入れるのが先になります。
件数を月次で1つのグラフにする
細かい分析より、月ごとの件数の推移だけを見るほうが続きます。増えた月に何があったかを聞くという使い方で十分です。
数える目的を共有しておく
不良の件数を数えると、責められる材料に見えます。どこに検査の手間をかけるかを決めるために数えていると先に伝えておくと、報告が正直になります。
不良品を出さない側の手当て
不良品の隔離は、起きたあとの話です。件数そのものを減らす手当ても並行して考えます。
| 不良が生まれる場面 | 手当て |
|---|---|
| 入荷時点で不良が入っている | 受入検品の水準を上げる。仕入先と基準を共有する |
| 保管中に劣化・破損する | 置き方を変える。積み上げの段数を決める |
| 運搬中に傷が付く | 台車や仕切りを使う。積み方を決める |
| 期限切れで使えなくなる | 先入先出を置き方で担保する |
| 作業のばらつきで発生する | 作業の手順を揃える |
保管中の劣化は在庫管理の側で減らせる
倉庫での積み上げ、直射日光、湿気、フォークでの接触。これらは品質の問題というより置き方の問題です。不良の内容を見ると、保管中に起きているものが意外と多くあります。
期限切れは不良として数える
期限が切れて使えなくなったものも、結果としては使えない在庫です。不良として件数に含めて見ると、発注や置き方の問題として扱えます。管理のしかたはロットと使用期限の管理で扱っています。
不良品の管理でつまずきやすい3つ
その1:隔離の場所が決まっていない
置き場所が無いと、通路の脇に置かれ、そのうち良品の棚に戻ります。床にテープで区画を作るだけで足ります。判断は後回しでよいので、移すことだけは全員ができる形にします。
その2:判定の期限が無い
判定が難しいものほど後回しになり、隔離の区画に溜まります。3営業日以内、と決めて、過ぎた行を一覧に出す形にしておきます。判定できないなら、その理由を書いて延ばします。
その3:処置したのに在庫を落としていない
廃棄したのに帳簿に残っていると、棚卸で差異になります。入出庫の記録に不良処分の区分を作って、出庫として1行通すと、履歴も残り数も合います。
不良品の隔離は、見つけた人が迷わず動ける形にすることが要点です。移す場所、貼る色、書く紙。この3つが決まっていれば、判断は後からで間に合います。逆に、この3つが無いまま判定の基準だけを細かく決めても、現物は通路の脇に置かれたままになります。
よくある質問
- Q. 不良品はどこに置けばいいですか?
- 良品と物理的に分かれた場所を先に作っておいてください。床にテープで線を引いた区画や、棚の一段でも構いません。置き場所が決まっていないと通路の脇に置かれ、そのうち良品の棚に戻ってしまいます。
- Q. 調べた結果、基準内だった場合はどうしますか?
- 良品復帰として記録を残してから棚に戻します。戻したという記録が無いと、棚卸のときに数が合わなくなります。戻した日と戻した人まで書いておくと、あとから経緯を追えます。
- Q. 不良品を廃棄したら、在庫はどう処理しますか?
- 入出庫の記録に「不良処分」の区分を作り、出庫として1行通してください。在庫から落とし忘れると、翌月の棚卸で差異になります。区分を分けておくと、あとで不良処分の件数を数えることもできます。
- Q. 棚卸のとき、隔離中の不良品も数えますか?
- 数えますが、良品とは別の用紙にしてください。良品と一緒に数えると、使えない在庫が良品として計上されます。分けて数えておくと、評価減を検討するときにそのまま使えます。
あわせて読みたい記事
本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-08-30時点のものです。