誤出荷を防ぐ方法 - 原因の4つの型と、積む前の5項目の確認
違う品物を送った、数が足りなかった、宛先を取り違えた。誤出荷は、届いた先で発覚するので、こちらが気づいたときにはもう遅いという性質があります。回収と再送の手間は、出荷1件の何倍にもなります。
一般には、誤出荷の対策としてバーコードやハンディ端末による照合が挙げられます。ただ、機器を入れる前にできることが残っている現場も多くあります。この記事では、誤出荷を防ぐ方法を「積む前の確認」に絞って、何をどの順で見るかを整理します。輸送中の破損は別の話なので輸送中に破損したときの対応にまとめました。
この記事の内容(13項目)
- 誤出荷は4つの型に分かれる
- いちばん被害が大きいのは宛先違い
- 止められる場所は1か所ではない
- まず自社の型の内訳を数える
- 積む前の確認に入れる項目
- 品番は声に出して読む
- 箱数と入り数の両方を見る
- 確認した人の名前を書く
- 二人で見る場面を決める
- 影響の大きさで決める
- 同時に複数の出荷を扱う日は、区画を分ける
- 読み手と確認役を分ける
- 繁忙期に崩れない形にする
- 急ぎのときの最低ラインを決める
- 確認の項目を増やさない
- 出荷の山を分散させる
- 積み込みの順番でも防げる
- 降ろす順の逆に積む
- 届け先ごとに色を分ける
- 積んだ内容を1便ごとに残す
- 直送の場合は確認の場所が変わる
- 宛先は文字で渡す
- 届いたことを確認するまで閉じない
- 納品書の記載を指定しておく
- 誤出荷が起きたあとの数え方
- 「確認したのに抜けた」が多いなら、確認の中身を変える
- 個人ではなく時間帯と件数で見る
- 月に1件でも記録する
- 誤出荷が起きたときの初動
- まず何が届いたかを聞く
- 代わりの品物と、間違えた品物の回収を分けて決める
- 同じ日の他の出荷も確認する
- 戻ってきた品物は、すぐ良品の棚に戻さない
- 誤出荷の対策でつまずきやすい3つ
- その1:確認の項目を増やし続ける
- その2:全件を二人で確認しようとする
- その3:起きたことを個人の問題として扱う
- 誤出荷を防ぐ方法にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
- 誤出荷を防ぐ方法に出てくる用語
- 誤出荷を防ぐ方法と一緒に押さえておきたいこと
- 個人あての宛先違いは、漏えいとして確かめる
- 積み直しや再配送を、運送会社に無償で頼まない
- 誤出荷率は、自社の過去と比べる
- 報告書とお詫びは、型と事実を先に書く
- よくある質問
誤出荷は4つの型に分かれる
誤出荷を防ぐ方法を考えるとき、まとめて「出荷ミス」と呼んでいると対策が決まりません。型ごとに止まる場所が違います。
| 型 | 起きる場面 | 止められる場所 |
|---|---|---|
| 品違い | 似た品番、色違い、サイズ違いを取る | ピッキングと積む前の確認 |
| 数量違い | 入り数を勘違いする。数え間違い | 積む前の確認 |
| 宛先違い | 同時に複数の出荷を扱う | 伝票を貼る直前 |
| 書類の不備 | 納品書や検査成績書の同梱漏れ | 積む前の確認 |
いちばん被害が大きいのは宛先違い
品違いや数量違いは追送で済むことが多いのですが、宛先違いは他社に自社の情報が届くという別の問題を含みます。個人のお客様あての納品書や送り状が別の人に届けば、個人データの漏えいとして扱う場面も出てきます(この記事の後半で触れます)。宛先の確認だけは、どんなに急いでいても飛ばさない形にします。
止められる場所は1か所ではない
ピッキングで気をつけるだけでは、疲れた日に抜けます。取るときと、積む前の2回見る形にすると、片方が抜けてももう片方で止まります。
まず自社の型の内訳を数える
誤出荷を防ぐ方法は、型によって変わります。過去半年の誤出荷を4つの型に分けて数えると、どこに手を打つかが決まります。品違いが多いのに宛先の確認を強化しても効きません。
積む前の確認に入れる項目
誤出荷を防ぐ方法の中心は、車に積む直前の確認です。ここは1件1分でできる形にします。
| 見るもの | 確認のしかた | 止められる型 |
|---|---|---|
| 宛先 | 伝票の宛先と、荷札の宛先を突き合わせる | 宛先違い |
| 品目 | 品番を声に出して読み合わせる | 品違い |
| 数量 | 個数を数える。箱数と入り数を両方見る | 数量違い |
| 同梱書類 | 納品書、検査成績書、返送用の伝票 | 書類の不備 |
| 荷姿 | 梱包の状態、天地無用などの表示 | 輸送中の破損 |
品番は声に出して読む
目で見るだけだと、見たいものを見てしまいます。声に出して読み上げると、違いに気づきやすくなります。1人でも効果があり、2人ならさらに確実です。
箱数と入り数の両方を見る
数量違いの多くは、箱数は合っているが入り数が違う、という形で起きます。「3箱、1箱50本、合計150本」と両方を確認すると、この型が止まります。
確認した人の名前を書く
誰が確認したかを書く欄を作ると、確認そのものの質が上がります。責任を問うためではなく、あとで状況を聞ける相手を残すためです。
二人で見る場面を決める
すべての出荷を二人で確認すると、人手が足りません。どこを二人で見るかを絞ります。
(宛先と品番の取り違えが起きやすい)
(間違えたときの影響が大きい)
(いつもと違う点だけ見る)
影響の大きさで決める
誤出荷を防ぐ方法として二人確認は有効ですが、間違えたときの影響が大きい出荷だけに絞ると続きます。初めての取引先、高額品、特注品、数量の多い出荷。この4つが目安です。
同時に複数の出荷を扱う日は、区画を分ける
宛先違いは、複数の出荷が同じ場所に並んでいるときに起きます。出荷ごとに床の区画を分けて、間に空きを作るだけで、混ざる事故が減ります。
読み手と確認役を分ける
二人で見るとき、両方が同じ紙を覗き込むと意味が薄れます。1人が伝票を読み、もう1人が現物を見る形にすると、突き合わせになります。
繁忙期に崩れない形にする
誤出荷を防ぐ方法は、暇なときには機能します。問題は忙しい日に飛ばされることです。崩れない形を先に作ります。
| 崩れる場面 | 崩れない形 |
|---|---|
| 確認の項目が多くて時間がかかる | 5項目までにする。1件1分で終わる量に |
| 確認用紙が事務所にある | 出荷場所に置く。クリップボードで持ち歩く |
| 急ぎの出荷だけ飛ばす | 急ぎこそ宛先だけは見る、と決める |
| 一人しかいない時間帯がある | その時間帯は声出し確認だけに切り替える |
| 応援が入って手順を知らない | 確認の5項目を出荷場所に貼っておく |
急ぎのときの最低ラインを決める
忙しいときに全部を飛ばすのではなく、「宛先と数量だけは見る」という最低ラインを決めておくと、被害の大きい型は止まります。
確認の項目を増やさない
誤出荷が起きるたびに確認の項目を足していくと、そのうち誰も全部は見なくなります。項目を足すときは、代わりに1つ減らすくらいの気持ちで維持します。
出荷の山を分散させる
夕方に全部の出荷が集中すると、確認の時間が取れません。午前に出せるものは午前に出すという調整だけで、確認の質が変わります。
積み込みの順番でも防げる
誤出荷を防ぐ方法として、積み方も効きます。特に複数の届け先を1台で回る場合です。
まとめて積む
積むのは速い。降ろすときに探す。
降ろし間違いが起きやすい。
降ろす順の逆に積む
積むときに考える手間がある。最初の届け先の荷が手前に来る。
降ろし間違いが起きにくい。
降ろす順の逆に積む
最後に届ける荷を先に積み、最初に届ける荷を最後に積む。この順番だと、現場では手前の荷を降ろすだけになります。降ろし間違いという型の誤出荷が減ります。
届け先ごとに色を分ける
荷札やテープの色を届け先ごとに変えると、混ざったときに気づけます。色は3〜4色で足ります。同じ便で回る先が多い場合に効きます。
積んだ内容を1便ごとに残す
何をどの順で積んだかを記録しておくと、届かなかったという連絡があったときに確認できます。積み忘れなのか、降ろし間違いなのかが切り分けられます。記録のしかたは積込順序と固縛の記録で扱っています。
直送の場合は確認の場所が変わる
仕入先から客先へ直接送る直送では、こちらは現物を見ません。誤出荷を防ぐ方法も、確認する場所が変わります。
| 直送で気をつけること | やること |
|---|---|
| 宛先の伝え方 | 住所と担当者名を文字で渡す。電話で伝えない |
| 品目と数量 | 発注書の内容をそのまま指示に使う |
| 同梱書類 | 納品書に自社名を入れるかどうかを指定する |
| 納品の確認 | 届いたかどうかを客先か仕入先に確認する |
宛先は文字で渡す
電話で住所を伝えると、聞き間違いが起きます。メールや発注書に書いて渡すのが確実です。担当者名と電話番号も一緒に渡します。
届いたことを確認するまで閉じない
直送は現物を見ないので、届いていないことに気づくのが遅れます。納品予定日を過ぎたら確認するという手順を入れておきます。管理のしかたは直送案件の管理にまとめています。
納品書の記載を指定しておく
仕入先の名前がそのまま客先に見えてよいかは、取引によって違います。直送を依頼する時点で、納品書の記載を指定しておきます。
誤出荷が起きたあとの数え方
誤出荷を防ぐ方法を改善していくには、起きたことを記録する必要があります。責める形にしないことが前提です。
| 残すこと | 使いどころ |
|---|---|
| 型(品違い・数量違い・宛先違い・書類) | どこに手を打つかが決まる |
| 起きた日と時間帯 | 夕方に集中していないか |
| 出荷の件数が多い日だったか | 繁忙との関係が見える |
| 確認をしたかどうか | 確認が飛ばされているのか、確認しても抜けたのか |
| 気づいた場所 | 社内か、届いた先か |
「確認したのに抜けた」が多いなら、確認の中身を変える
確認そのものは行われているのにミスが出ている場合、確認の項目か方法が効いていません。声に出す、二人で見る、区画を分ける、といった方法を変えます。
個人ではなく時間帯と件数で見る
誰がやったかで数えると、報告されなくなります。いつ、どのくらい忙しい日に起きたかで見ると、仕組みの話になります。
月に1件でも記録する
件数が少ないと記録しなくなりますが、1年たまると傾向が見えます。1件2分で書ける形にしておくと続きます。誤出荷を在庫の異常として社内に上げる書き方は在庫異常の報告のしかたにまとめています。
誤出荷が起きたときの初動
誤出荷を防ぐ方法を整えていても、起きるときは起きます。連絡を受けてからの動きも決めておきます。
まず何が届いたかを聞く
謝罪より先に、実際に届いた品物と数を確認します。こちらの記録と突き合わせて、どの型の誤出荷かを特定すると、次の手当てが決まります。
代わりの品物と、間違えた品物の回収を分けて決める
急ぐのは代わりの品物です。間違えて送った物の回収は、次の納品のついででよいかを確認すると、相手の手間も減ります。
同じ日の他の出荷も確認する
宛先違いは、たいてい2件が入れ替わっています。1件見つかったら、同じ日の他の出荷も確認すると、もう1件を先回りして手当てできます。
戻ってきた品物は、すぐ良品の棚に戻さない
回収した品物は、相手先で開けられていることがあります。いったん受入の区画に置いて、状態を見てから在庫に戻すと、次の誤出荷の種を作りません。戻すかどうかの線引きは返品対応の流れと同じ考え方で持てます。
誤出荷の対策でつまずきやすい3つ
その1:確認の項目を増やし続ける
ミスが起きるたびに項目を足すと、10項目を超えたあたりで誰も全部は見なくなります。5項目まで、1件1分を守ると、忙しい日でも生き残ります。
その2:全件を二人で確認しようとする
人手が足りず、結局どの出荷も一人になります。初めての取引先、高額品、特注品、数量の多い出荷に絞ると、実行できます。
その3:起きたことを個人の問題として扱う
誰のミスかを追及すると、次から報告されなくなります。型・時間帯・件数で数えると、仕組みの話として手が打てます。
誤出荷を防ぐ方法は、機器を入れる前にできることが残っています。積む前に5項目を1分で見る。宛先だけは急いでいても飛ばさない。この2つから始められます。
誤出荷を防ぐ方法にかかわる最近の動き(2026年10月時点)
誤出荷を防ぐ方法そのものを定めた法令はありません。ただ、出荷のまわりでは、運転者を待たせない段取り、運送会社との取引の決まり、宛先違いで個人データが届いたときの扱いが、ここ数年で変わっています。一次情報で確かめられたものを日付順に並べます。
| 時期 | 出来事 | 誤出荷を防ぐ方法への影響 |
|---|---|---|
| 2025年4月1日 | 物資の流通の効率化に関する法律が施行。運送を委託する荷主に、運転者の荷待ち時間や荷役の時間を短くする努力義務ができた(第42条) | 積込みを急かされる場面が増える。積む前の5項目は、車が着く前に出荷場所で済ませておく段取りにする |
| 2026年1月1日 | 下請法が改正され、取適法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律)として施行。販売する品物を取引先へ運ぶ運送の委託(特定運送委託)も対象に入った(第2条第5項) | 誤出荷の積み直しや再配送を運送会社に頼むときの費用の扱いが、この法律の目で見られる |
| 2026年4月1日 | 一定量以上の貨物を扱う荷主が特定荷主に指定され、中長期的な計画の提出と物流統括管理者の選任が求められるようになった(第45条〜第47条) | 該当する会社では出荷の時間帯が組み直される。出荷の山を分ける話と一緒に、確認の時間も取っておく |
| 2026年6月 | 個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)の一部改正。改正後の版でも、個人データが書かれた書類を第三者に誤送付した場合は漏えいの例として挙げられている | 個人のお客様あての宛先違いは、品物の取り違えだけでなく個人データの漏えいとして確かめる |
| 2026年7月10日 | 公正取引委員会が、ミネベアアクセスソリューションズに勧告。2026年1月から4月に、運送を委託した1名の中小受託事業者に、積込み・取卸しと運送に附帯する業務を計546時間26分、費用を負担せずに行わせていたとされる(取適法第5条第2項第2号) | 運送会社に無償で頼んでいる作業がないか、出荷の手順を見直すきっかけになる |
| 2026年7月17日 | 個人情報保護法の改正法(令和8年法律第56号)が公布。漏えい等が起きたときの本人への通知が、本人の権利利益の保護に欠けるおそれが少ない場合に緩和される(第26条第2項)。施行は原則として公布から2年以内の政令で定める日 | 宛先違いが起きたときの連絡手順は、施行と規則の中身が出たら見直す。それまでは今の手順で構わない |
誤出荷を防ぐ方法の側から見たポイントはここです。積む前の確認を「車が着いてから」ではなく「車が着く前」に終わらせておくと、待たせない段取りと確認の時間がぶつかりません。
出典:物資の流通の効率化に関する法律(e-Gov法令検索)、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(e-Gov法令検索)、ミネベアアクセスソリューションズ株式会社に対する勧告について(公正取引委員会)、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)(個人情報保護委員会)、令和8年 改正個人情報保護法について(個人情報保護委員会)
確認日は2026年10月3日です。運送の委託の扱いは公正取引委員会または中小企業庁の相談窓口に、物流の制度は地方運輸局か経済産業局に、個人データの扱いは個人情報保護委員会の相談窓口にご確認ください。
誤出荷を防ぐ方法に出てくる用語
誤出荷を防ぐ方法を話すとき、倉庫の言葉と法令の言葉が混ざります。法令に出てくるものは、条文と一緒に並べます。
| 用語 | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| 誤出荷 | 注文と違う品物・数量・宛先・書類で出荷してしまうこと | 法令上の定義はない |
| 誤出荷率 | 出荷した件数(または行数)のうち、誤出荷になった割合。100万件あたりで表す ppm もよく使われる | 法令上の定義はない。何を1件と数えるかは社内で決める |
| ピッキング | 出荷する品物を棚から取り出す作業 | 法令上の定義はない |
| 出荷検品 | 積む前に、品目・数量・宛先・同梱書類を突き合わせる確認 | 法令上の定義はない |
| 個人データ | 検索できるように整理した個人情報の集まり(個人情報データベース等)を構成する個人情報。顧客台帳から出した送り状の宛名もこれに当たることが多い | 個人情報保護法 第16条第3項 |
| 漏えい等の報告 | 一定の漏えい等が起きたときの、個人情報保護委員会への報告と本人への通知 | 個人情報保護法 第26条、同法施行規則 第7条 |
| 特定運送委託 | 販売・製造・修理などの目的物を、取引の相手方へ運ぶ運送の全部または一部を他の事業者に委託すること | 取適法 第2条第5項 |
| 中小受託事業者 | 取適法で、委託を受ける側のうち資本金や従業員数が一定以下の事業者。2025年までの下請法の「下請事業者」にあたる | 取適法 第2条第9項 |
誤出荷を防ぐ方法で取り違えやすいのは、誤出荷率の「1件」の数え方です。伝票1枚を1件と数えるか、品目の行を1件と数えるかで、率は何倍も変わります。決めた数え方を記録の欄外に書いておくと、月ごとの比較がぶれません。
誤出荷を防ぐ方法と一緒に押さえておきたいこと
誤出荷を防ぐ方法を扱う記事の多くは、システムやハンディ端末の紹介で終わっています。ここでは、起きたあとの扱いと取引の決まりから、出荷の手順に効く点を4つ置きます。
個人あての宛先違いは、漏えいとして確かめる
個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、個人データが書かれた書類を第三者に誤送付した場合が、漏えいの例として挙げられています。要配慮個人情報が含まれる場合、不正に使われると財産的な被害が生じるおそれがある場合、不正の目的によるおそれがある場合、本人の数が千人を超える場合などは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が求められます(個人情報保護法第26条、同法施行規則第7条)。速報は知った時点から概ね3〜5日以内、確報は30日以内(不正の目的によるおそれがある場合は60日以内)とされています。誤出荷の記録に「個人あてか」「何が書かれた書類が届いたか」の欄を足しておくと、報告が要る事態かをその日に判断できます。
積み直しや再配送を、運送会社に無償で頼まない
2026年1月から、販売する品物を取引先へ運ぶ運送の委託も取適法の対象になりました(第2条第5項)。委託する側は、自己のために金銭や役務などの経済上の利益を提供させて、中小受託事業者の利益を不当に害してはならないとされています(第5条第2項第2号)。2026年7月には、積込み・取卸しなどを無償で行わせていた事業者への勧告も出ています。誤出荷の後始末で頼む積み直しや再配送は、新しい運送の依頼として扱い、費用を相談するのが安全です。当てはまるかどうかは、自社と運送会社の資本金や従業員数の区分(第2条第8項・第9項)で決まります。
誤出荷率は、自社の過去と比べる
「誤出荷率の平均」を調べる人は多いのですが、業界全体の誤出荷率を示した公的な統計は、確認できた範囲ではありません。民間の調査の数字は、数え方がそろっていないことがあります。誤出荷の件数を出荷の件数で割り、同じ数え方で月ごとに並べるほうが、手を打った効果を確かめられます。
報告書とお詫びは、型と事実を先に書く
取引先に出す報告書は、謝罪の言葉より先に、何が届いたか、どの型の誤出荷か、代わりの品物をいつ届けるかを書くと話が早く進みます。社内の記録と同じ項目(型・時間帯・確認をしたか・気づいた場所)を並べておけば、再発防止の欄も事実で埋まります。誰がやったかは報告書に書かず、どの確認が抜けたかを書くと、次の手当てが決まります。
出典:個人情報の保護に関する法律、製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(いずれもe-Gov法令検索)、ガイドライン(通則編)(個人情報保護委員会)。確認日は2026年10月3日です。
よくある質問
- Q. 誤出荷の対策には、バーコードやハンディ端末が必要ですか?
- 導入すれば効果はありますが、その前にできることが残っている現場も多くあります。積む前に宛先・品目・数量・同梱書類・荷姿の5項目を1分で確認する形を作るだけでも、品違いと数量違いはかなり減ります。
- Q. 全部の出荷を二人で確認したほうがいいですか?
- 人手が足りずに結局どの出荷も一人になることが多いので、絞るほうが実行できます。初めての取引先、高額品、特注品、数量の多い出荷の4つに絞り、それ以外は一人で声出し確認にする形が現実的です。
- Q. 忙しい日に確認が飛ばされてしまいます。
- 全部を飛ばすのではなく、最低ラインを決めておいてください。「急いでいても宛先と数量だけは見る」と決めておけば、被害の大きい宛先違いは止まります。あわせて、確認用紙を出荷場所に置き、事務所へ取りに行かない形にします。
- Q. 複数の届け先を1台で回るとき、間違いを減らす方法はありますか?
- 降ろす順の逆に積むと、現場では手前の荷を降ろすだけになり、降ろし間違いが減ります。届け先ごとに荷札やテープの色を変えるのも有効です。積んだ内容を1便ごとに記録しておくと、届かなかったときに積み忘れか降ろし間違いかを切り分けられます。
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本記事は一般的な業務の進め方を整理したものです。社内規程、契約条件、法令上の要件がある場合は、それらを優先してご確認ください。記事の内容は2026-10-03時点のものです。