誤出荷を防ぐ方法 - 積む前の確認で止める
違う品物を送った、数が足りなかった、宛先を取り違えた。誤出荷は、届いた先で発覚するので、こちらが気づいたときにはもう遅いという性質があります。回収と再送の手間は、出荷1件の何倍にもなります。
一般には、誤出荷の対策としてバーコードやハンディ端末による照合が挙げられます。ただ、機器を入れる前にできることが残っている現場も多くあります。この記事では、誤出荷を防ぐ方法を「積む前の確認」に絞って、何をどの順で見るかを整理します。輸送中の破損は別の話なので輸送中に破損したときの対応にまとめました。
この記事の内容(10項目)
- 誤出荷は4つの型に分かれる
- いちばん被害が大きいのは宛先違い
- 止められる場所は1か所ではない
- まず自社の型の内訳を数える
- 積む前の確認に入れる項目
- 品番は声に出して読む
- 箱数と入り数の両方を見る
- 確認した人の名前を書く
- 二人で見る場面を決める
- 影響の大きさで決める
- 同時に複数の出荷を扱う日は、区画を分ける
- 読み手と確認役を分ける
- 繁忙期に崩れない形にする
- 急ぎのときの最低ラインを決める
- 確認の項目を増やさない
- 出荷の山を分散させる
- 積み込みの順番でも防げる
- 降ろす順の逆に積む
- 届け先ごとに色を分ける
- 積んだ内容を1便ごとに残す
- 直送の場合は確認の場所が変わる
- 宛先は文字で渡す
- 届いたことを確認するまで閉じない
- 納品書の記載を指定しておく
- 誤出荷が起きたあとの数え方
- 「確認したのに抜けた」が多いなら、確認の中身を変える
- 個人ではなく時間帯と件数で見る
- 月に1件でも記録する
- 誤出荷が起きたときの初動
- まず何が届いたかを聞く
- 代わりの品物と、間違えた品物の回収を分けて決める
- 同じ日の他の出荷も確認する
- 誤出荷の対策でつまずきやすい3つ
- その1:確認の項目を増やし続ける
- その2:全件を二人で確認しようとする
- その3:起きたことを個人の問題として扱う
- よくある質問
誤出荷は4つの型に分かれる
誤出荷を防ぐ方法を考えるとき、まとめて「出荷ミス」と呼んでいると対策が決まりません。型ごとに止まる場所が違います。
| 型 | 起きる場面 | 止められる場所 |
|---|---|---|
| 品違い | 似た品番、色違い、サイズ違いを取る | ピッキングと積む前の確認 |
| 数量違い | 入り数を勘違いする。数え間違い | 積む前の確認 |
| 宛先違い | 同時に複数の出荷を扱う | 伝票を貼る直前 |
| 書類の不備 | 納品書や検査成績書の同梱漏れ | 積む前の確認 |
いちばん被害が大きいのは宛先違い
品違いや数量違いは追送で済むことが多いのですが、宛先違いは他社に自社の情報が届くという別の問題を含みます。宛先の確認だけは、どんなに急いでいても飛ばさない形にします。
止められる場所は1か所ではない
ピッキングで気をつけるだけでは、疲れた日に抜けます。取るときと、積む前の2回見る形にすると、片方が抜けてももう片方で止まります。
まず自社の型の内訳を数える
誤出荷を防ぐ方法は、型によって変わります。過去半年の誤出荷を4つの型に分けて数えると、どこに手を打つかが決まります。品違いが多いのに宛先の確認を強化しても効きません。
積む前の確認に入れる項目
誤出荷を防ぐ方法の中心は、車に積む直前の確認です。ここは1件1分でできる形にします。
| 見るもの | 確認のしかた | 止められる型 |
|---|---|---|
| 宛先 | 伝票の宛先と、荷札の宛先を突き合わせる | 宛先違い |
| 品目 | 品番を声に出して読み合わせる | 品違い |
| 数量 | 個数を数える。箱数と入り数を両方見る | 数量違い |
| 同梱書類 | 納品書、検査成績書、返送用の伝票 | 書類の不備 |
| 荷姿 | 梱包の状態、天地無用などの表示 | 輸送中の破損 |
品番は声に出して読む
目で見るだけだと、見たいものを見てしまいます。声に出して読み上げると、違いに気づきやすくなります。1人でも効果があり、2人ならさらに確実です。
箱数と入り数の両方を見る
数量違いの多くは、箱数は合っているが入り数が違う、という形で起きます。「3箱、1箱50本、合計150本」と両方を確認すると、この型が止まります。
確認した人の名前を書く
誰が確認したかを書く欄を作ると、確認そのものの質が上がります。責任を問うためではなく、あとで状況を聞ける相手を残すためです。
二人で見る場面を決める
すべての出荷を二人で確認すると、人手が足りません。どこを二人で見るかを絞ります。
影響の大きさで決める
誤出荷を防ぐ方法として二人確認は有効ですが、間違えたときの影響が大きい出荷だけに絞ると続きます。初めての取引先、高額品、特注品、数量の多い出荷。この4つが目安です。
同時に複数の出荷を扱う日は、区画を分ける
宛先違いは、複数の出荷が同じ場所に並んでいるときに起きます。出荷ごとに床の区画を分けて、間に空きを作るだけで、混ざる事故が減ります。
読み手と確認役を分ける
二人で見るとき、両方が同じ紙を覗き込むと意味が薄れます。1人が伝票を読み、もう1人が現物を見る形にすると、突き合わせになります。
繁忙期に崩れない形にする
誤出荷を防ぐ方法は、暇なときには機能します。問題は忙しい日に飛ばされることです。崩れない形を先に作ります。
| 崩れる場面 | 崩れない形 |
|---|---|
| 確認の項目が多くて時間がかかる | 5項目までにする。1件1分で終わる量に |
| 確認用紙が事務所にある | 出荷場所に置く。クリップボードで持ち歩く |
| 急ぎの出荷だけ飛ばす | 急ぎこそ宛先だけは見る、と決める |
| 一人しかいない時間帯がある | その時間帯は声出し確認だけに切り替える |
| 応援が入って手順を知らない | 確認の5項目を出荷場所に貼っておく |
急ぎのときの最低ラインを決める
忙しいときに全部を飛ばすのではなく、「宛先と数量だけは見る」という最低ラインを決めておくと、被害の大きい型は止まります。
確認の項目を増やさない
誤出荷が起きるたびに確認の項目を足していくと、そのうち誰も全部は見なくなります。項目を足すときは、代わりに1つ減らすくらいの気持ちで維持します。
出荷の山を分散させる
夕方に全部の出荷が集中すると、確認の時間が取れません。午前に出せるものは午前に出すという調整だけで、確認の質が変わります。
積み込みの順番でも防げる
誤出荷を防ぐ方法として、積み方も効きます。特に複数の届け先を1台で回る場合です。
まとめて積む
積むのは速い。降ろすときに探す。
降ろし間違いが起きやすい。
降ろす順の逆に積む
積むときに考える手間がある。最初の届け先の荷が手前に来る。
降ろし間違いが起きにくい。
降ろす順の逆に積む
最後に届ける荷を先に積み、最初に届ける荷を最後に積む。この順番だと、現場では手前の荷を降ろすだけになります。降ろし間違いという型の誤出荷が減ります。
届け先ごとに色を分ける
荷札やテープの色を届け先ごとに変えると、混ざったときに気づけます。色は3〜4色で足ります。同じ便で回る先が多い場合に効きます。
積んだ内容を1便ごとに残す
何をどの順で積んだかを記録しておくと、届かなかったという連絡があったときに確認できます。積み忘れなのか、降ろし間違いなのかが切り分けられます。記録のしかたは積込順序と固縛の記録で扱っています。
直送の場合は確認の場所が変わる
仕入先から客先へ直接送る直送では、こちらは現物を見ません。誤出荷を防ぐ方法も、確認する場所が変わります。
| 直送で気をつけること | やること |
|---|---|
| 宛先の伝え方 | 住所と担当者名を文字で渡す。電話で伝えない |
| 品目と数量 | 発注書の内容をそのまま指示に使う |
| 同梱書類 | 納品書に自社名を入れるかどうかを指定する |
| 納品の確認 | 届いたかどうかを客先か仕入先に確認する |
宛先は文字で渡す
電話で住所を伝えると、聞き間違いが起きます。メールや発注書に書いて渡すのが確実です。担当者名と電話番号も一緒に渡します。
届いたことを確認するまで閉じない
直送は現物を見ないので、届いていないことに気づくのが遅れます。納品予定日を過ぎたら確認するという手順を入れておきます。管理のしかたは直送案件の管理にまとめています。
納品書の記載を指定しておく
仕入先の名前がそのまま客先に見えてよいかは、取引によって違います。直送を依頼する時点で、納品書の記載を指定しておきます。
誤出荷が起きたあとの数え方
誤出荷を防ぐ方法を改善していくには、起きたことを記録する必要があります。責める形にしないことが前提です。
| 残すこと | 使いどころ |
|---|---|
| 型(品違い・数量違い・宛先違い・書類) | どこに手を打つかが決まる |
| 起きた日と時間帯 | 夕方に集中していないか |
| 出荷の件数が多い日だったか | 繁忙との関係が見える |
| 確認をしたかどうか | 確認が飛ばされているのか、確認しても抜けたのか |
| 気づいた場所 | 社内か、届いた先か |
「確認したのに抜けた」が多いなら、確認の中身を変える
確認そのものは行われているのにミスが出ている場合、確認の項目か方法が効いていません。声に出す、二人で見る、区画を分ける、といった方法を変えます。
個人ではなく時間帯と件数で見る
誰がやったかで数えると、報告されなくなります。いつ、どのくらい忙しい日に起きたかで見ると、仕組みの話になります。
月に1件でも記録する
件数が少ないと記録しなくなりますが、1年たまると傾向が見えます。1件2分で書ける形にしておくと続きます。
誤出荷が起きたときの初動
誤出荷を防ぐ方法を整えていても、起きるときは起きます。連絡を受けてからの動きも決めておきます。
まず何が届いたかを聞く
謝罪より先に、実際に届いた品物と数を確認します。こちらの記録と突き合わせて、どの型の誤出荷かを特定すると、次の手当てが決まります。
代わりの品物と、間違えた品物の回収を分けて決める
急ぐのは代わりの品物です。間違えて送った物の回収は、次の納品のついででよいかを確認すると、相手の手間も減ります。
同じ日の他の出荷も確認する
宛先違いは、たいてい2件が入れ替わっています。1件見つかったら、同じ日の他の出荷も確認すると、もう1件を先回りして手当てできます。
誤出荷の対策でつまずきやすい3つ
その1:確認の項目を増やし続ける
ミスが起きるたびに項目を足すと、10項目を超えたあたりで誰も全部は見なくなります。5項目まで、1件1分を守ると、忙しい日でも生き残ります。
その2:全件を二人で確認しようとする
人手が足りず、結局どの出荷も一人になります。初めての取引先、高額品、特注品、数量の多い出荷に絞ると、実行できます。
その3:起きたことを個人の問題として扱う
誰のミスかを追及すると、次から報告されなくなります。型・時間帯・件数で数えると、仕組みの話として手が打てます。
誤出荷を防ぐ方法は、機器を入れる前にできることが残っています。積む前に5項目を1分で見る。宛先だけは急いでいても飛ばさない。この2つから始められます。
よくある質問
- Q. 誤出荷の対策には、バーコードやハンディ端末が必要ですか?
- 導入すれば効果はありますが、その前にできることが残っている現場も多くあります。積む前に宛先・品目・数量・同梱書類・荷姿の5項目を1分で確認する形を作るだけでも、品違いと数量違いはかなり減ります。
- Q. 全部の出荷を二人で確認したほうがいいですか?
- 人手が足りずに結局どの出荷も一人になることが多いので、絞るほうが実行できます。初めての取引先、高額品、特注品、数量の多い出荷の4つに絞り、それ以外は一人で声出し確認にする形が現実的です。
- Q. 忙しい日に確認が飛ばされてしまいます。
- 全部を飛ばすのではなく、最低ラインを決めておいてください。「急いでいても宛先と数量だけは見る」と決めておけば、被害の大きい宛先違いは止まります。あわせて、確認用紙を出荷場所に置き、事務所へ取りに行かない形にします。
- Q. 複数の届け先を1台で回るとき、間違いを減らす方法はありますか?
- 降ろす順の逆に積むと、現場では手前の荷を降ろすだけになり、降ろし間違いが減ります。届け先ごとに荷札やテープの色を変えるのも有効です。積んだ内容を1便ごとに記録しておくと、届かなかったときに積み忘れか降ろし間違いかを切り分けられます。
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