入荷検品のやり方 - 何を見て、どこで止めるか
荷物が届いたときに伝票にサインをして、中身は後で確認する。忙しい日ほどこの形になりますが、受け取ったあとに数が違っていた場合、それを証明するのはこちら側になります。入荷検品は、あとの手間を減らすための作業です。
一般には、入荷検品は数量・品目・外観・書類を確認する作業とされています。この記事では、入荷検品のやり方を「見る順番」と「止める判断」に分けて整理し、全数と抜取をどこで線引きするか、受け取ってしまったあとにどうするかまで見ていきます。届いていない分の管理は欠品と過剰在庫を防ぐ方法で扱っています。
この記事の内容(9項目)
- 入荷検品のやり方は「数・現物・書類」の3点
- 数が最優先になる理由
- 外装の破損はサインの前に見る
- 書類は後回しでよい
- 全数検品と抜取検品の線引き
- 初めての仕入先は全数から入る
- 抜取で問題が出たら、その回だけ全数に戻す
- 検品の水準を仕入先に伝えておく
- 入荷検品の記録に残す項目
- 納品書の数と実際の数を両方書く
- 判定は3段階で持つ
- 分納なら、その場で注文残を更新する
- 止める判断と、止めたあとの置き場所
- 受入前の区画を物理的に作る
- 保留の期限を決める
- 不良が見つかったら隔離して記録する
- 受け取ってしまったあとに気づいたとき
- 捨てない・洗わない・直さない
- 使ってしまったあとでも連絡する
- 頻度を仕入先ごとに数える
- 入荷検品を速くする工夫
- 棚番を発注のときに決めておく
- 入荷の山を分散させる
- 入荷検品の結果を仕入先の評価につなげる
- 件数は責めるためではなく、決めるために数える
- 納期の実績は発注点に返す
- 年に1回、仕入先と共有する
- 入荷検品でつまずきやすい3つ
- その1:先にサインして、あとで数える
- その2:保留の荷を良品の棚に置く
- その3:検品の水準を伝えていない
- よくある質問
入荷検品のやり方は「数・現物・書類」の3点
入荷検品で見るものは3つです。順番があり、数から見るのが基本です。
| 見るもの | 確認すること | 合わないときの動き |
|---|---|---|
| 1. 数 | 納品書の数と現物の数が合っているか | その場で運送業者に伝える。伝票に記載する |
| 2. 現物 | 外装の破れ、濡れ、品目違い、ロットと期限 | 受入を保留し、隔離する |
| 3. 書類 | 注文番号、品目、単価、必要な証明書の有無 | 受け取ってから仕入先に確認 |
数が最優先になる理由
数量の相違は、荷物を受け取って運送業者が帰ったあとでは主張しにくくなります。数だけはその場で見るのが原則です。箱の数が合っていれば足りる品目なら、開封は後回しで構いません。
外装の破損はサインの前に見る
段ボールが潰れている、濡れている、というのは開けなくても分かります。外装に異常があるときは、伝票にその旨を書いてからサインする。これがあるかどうかで、あとの補償の話が変わります。
書類は後回しでよい
注文番号の照合や単価の確認は、荷物を止めておく理由になりません。受け取ってから事務所で確認して構いません。現場を待たせるのは、数と現物の2点だけです。
全数検品と抜取検品の線引き
入荷検品のやり方で判断が要るのが、どこまで開けて見るかです。全部を開けると時間が足りず、開けなければ後で困ります。
| やり方 | 向いている場面 | 目安 |
|---|---|---|
| 全数 | 単価が高い。数が少ない。品質のばらつきが大きい | 1回の入荷が20点以下 |
| 抜取 | 同じ仕入先から定期的に入る。過去に問題がない | 箱数の1割か、各ロット1箱 |
| 外装のみ | 汎用の消耗品。すぐ代わりが手に入る | 箱の数と外観だけ |
| 初回だけ全数 | 新しい仕入先。規格を変更した直後 | 3回目までは全数、その後は抜取へ |
初めての仕入先は全数から入る
取引を始めたばかりの仕入先は、こちらの求める水準がまだ伝わっていません。最初の3回は全数、問題が無ければ抜取に移すという形にしておくと、無用な摩擦なく水準を揃えられます。
抜取で問題が出たら、その回だけ全数に戻す
抜取で不良が見つかったときは、その入荷分だけ全数に切り替えます。1つ見つかったら、同じロットに同じものがあると考えるのが基本です。仕入先への連絡もこの時点で行います。
検品の水準を仕入先に伝えておく
どこを見て何を不合格とするかを先に伝えておくと、返品のときの話が早くなります。伝えていないと、こちらの基準が後出しに見えます。
入荷検品の記録に残す項目
入荷検品のやり方を決めても、記録が残らなければ次に活きません。項目は多くなくて構いません。
| 項目 | 書き方 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 入荷日・時刻 | 時刻まで。運送業者への連絡に使う | 破損の申し出 |
| 注文番号 | 発注側の番号。注文残と突き合わせる | 分納の残数の更新 |
| 品目・数量 | 納品書の数と、実際に数えた数の両方 | 差があったときの証拠 |
| 検品の方法 | 全数・抜取・外装のみ | あとで問題が出たときの説明 |
| 判定 | 合格・保留・不合格 | 次の動きが決まる |
| 処置 | 受入・返品・特採・仕入先へ連絡 | やりかけを残さない |
納品書の数と実際の数を両方書く
合っていれば同じ数字を2回書くだけですが、この形にしておくと「合っていることを確認した」という記録になります。片方だけだと、確認したのか写しただけなのかが分かりません。
判定は3段階で持つ
合格と不合格の2つだけだと、判断が付かないときに現場が止まります。保留を作っておくと、いったん隔離して先に進めます。保留のまま放置されないよう、期限を決めておきます。
分納なら、その場で注文残を更新する
分けて納品される注文は、入荷のたびに残数を更新しないと、いくつ届いていないかが分からなくなります。入荷検品の記録から注文残へ数字を渡す形にしておくと、二重発注が防げます。
止める判断と、止めたあとの置き場所
入荷検品で問題が見つかったとき、いちばん困るのは置き場所です。良品と同じ棚に置くと、翌日には出荷されます。
受入前の区画を物理的に作る
テープで床に線を引くだけで足ります。ここにある荷は在庫ではないと全員が分かる状態にしておくと、誤って出荷されることも、棚卸で数えられることも防げます。
保留の期限を決める
保留にしたまま数週間置かれる、というのがよくある詰まり方です。3営業日以内に処置を決めるなど期限を置き、過ぎたものは一覧に出す形にします。
不良が見つかったら隔離して記録する
入荷検品で不良品が見つかった場合、そのまま返送するにしても、数と状態の記録は残します。返品や交換の交渉は記録が根拠になります。扱い方は不良品を見つけたときの流れにまとめています。
受け取ってしまったあとに気づいたとき
入荷検品のやり方を決めていても、後から気づくことはあります。そのときの動き方も決めておきます。
| 気づいた内容 | まずやること | 期限の目安 |
|---|---|---|
| 数が足りない | 納品書と現物の写真を残し、仕入先へ連絡 | 入荷当日から翌営業日 |
| 品目が違う | 使わずに隔離。開封済みでも連絡する | 気づいた時点ですぐ |
| 破損している | 梱包材ごと保管して写真を撮る | 運送業者への申し出は数日以内 |
| 期限が短い | 受入基準と照らして、返品か特採かを決める | 入荷当日 |
捨てない・洗わない・直さない
問題が見つかった現物に手を加えると、状態を証明できなくなります。梱包材も含めてそのまま残すのが原則です。写真を撮ってから触ります。
使ってしまったあとでも連絡する
気づいたときにはすでに一部を使っていた、という場合でも、残っている分と使った数を記録して連絡します。黙って処理すると、同じことが繰り返されます。
頻度を仕入先ごとに数える
入荷検品で問題が出た回数を仕入先ごとに数えておくと、次の取引条件を決めるときの材料になります。件数が偏っている仕入先には、検品の水準を上げて対応します。
入荷検品を速くする工夫
入荷検品のやり方を丁寧にすると、その時間が現場を圧迫します。精度を落とさずに速くする方法を入れておきます。
| 詰まる場面 | 速くする工夫 |
|---|---|
| 納品書を探すのに時間がかかる | 注文番号順のバインダーを入荷場所に置く |
| 何を検品すればよいか分からない | 品目ごとに検品の方法(全数・抜取)を表にしておく |
| 数えるのに時間がかかる | 入り数を決めて、箱数で数えられるようにする |
| 置き場所を探す | 入荷した品目の棚番を、注文の時点で決めておく |
| 複数の便が同時に来る | 入荷の時間帯を仕入先ごとにずらして依頼する |
棚番を発注のときに決めておく
入荷検品が終わってから置き場所を探すと、そこで時間がかかり、仮置きが増えます。発注の時点で置く棚を決めておくと、検品から棚入れまでが途切れません。
入荷の山を分散させる
午前中に全部の便が来ると、検品が追いつかず受け取るだけになります。仕入先に時間帯を分けてもらうだけで、検品の質が変わります。これは交渉で解決できる部分です。
入荷検品の結果を仕入先の評価につなげる
入荷検品のやり方を整えると、仕入先ごとの傾向が見えてきます。ここまで来ると、検品は防御ではなく取引条件の材料になります。
| 数える指標 | 出し方 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 数量相違の件数 | 仕入先ごとに月次で数える | 検品の水準を上げるかどうかの判断 |
| 納期の実績 | 回答納期と実際の入荷日の差 | 発注点のリードタイムに反映する |
| 不良の件数 | 受入時に見つけた不良の数 | 全数検品に戻すかどうかの判断 |
| 書類の不備 | 注文番号違い、証明書の欠落 | 事務側の手間の見える化 |
件数は責めるためではなく、決めるために数える
仕入先の評価というと厳しい話に聞こえますが、目的はどこに検品の手間をかけるかを決めることです。問題の少ない仕入先は抜取に緩め、多い仕入先は全数に戻す。手間の配分が変わります。
納期の実績は発注点に返す
入荷検品の記録から、発注日と入荷日の差が取れます。この実績をリードタイムとして発注点に使うと、欠品が減ります。仕入先の回答よりも、実績のほうが現実に近い数字です。
年に1回、仕入先と共有する
数えた結果を年に1回だけ仕入先に見せると、次の年の品質が変わることがあります。批判ではなく事実として渡すのがコツで、こちらの検品の水準も一緒に伝えると話が対等になります。
入荷検品でつまずきやすい3つ
その1:先にサインして、あとで数える
忙しい日ほどこの形になりますが、数の相違は受け取ったあとでは主張しにくくなります。箱の数だけはその場で数えると決めておけば、時間はほとんどかかりません。開封は後回しで構いません。
その2:保留の荷を良品の棚に置く
判定が付かない荷を通常の棚に置くと、翌日には出荷されます。床にテープで線を引くだけの区画を作り、ここにある荷は在庫ではないという状態にします。棚卸のときも分けて数えます。
その3:検品の水準を伝えていない
何を不合格とするかを仕入先に伝えていないと、返品の交渉が後出しに見えます。取引の初めに、見る項目と基準を1枚で渡しておくと、あとの話が早くなります。
入荷検品のやり方は、全部を丁寧に見ることではありません。数はその場で、現物は品目に応じて、書類は後で。この分け方が現場を止めない形です。
よくある質問
- Q. 入荷検品は全数でやるべきですか?
- 品目によって変えるのが実務的です。単価が高い、数が少ない、品質のばらつきが大きい品目は全数、定期的に入る汎用品は抜取や外装のみで足ります。新しい仕入先は最初の3回だけ全数にして、問題が無ければ抜取に移す形がよく使われています。
- Q. 納品書にサインしたあとで数が違うと分かりました。どうすればいいですか?
- まず納品書と現物の写真を残して、その日のうちに仕入先へ連絡してください。時間が経つほど確認が難しくなります。今後については、箱の数だけはサインの前に数える運用にしておくと、同じことが起きにくくなります。
- Q. 検品で保留にした荷は、どこに置けばいいですか?
- 床にテープで線を引くなどして、受入前の区画を物理的に作ってください。良品と同じ棚に置くと出荷されるおそれがあり、棚卸のときにも在庫として数えられてしまいます。保留のまま放置されないよう、3営業日以内に処置を決めるなどの期限も決めておきます。
- Q. 分納の入荷は、検品のときに何をすればいいですか?
- 届いた数を注文残の残数に反映してください。分けて納品される注文は、入荷のたびに残数を更新しないと、いくつ届いていないかが分からなくなります。残数が見えていないと、届く予定のものをもう一度発注してしまいます。
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