直送案件の管理 - 現物を見ないまま納品を確認する
仕入先から客先へ直接送る直送は、こちらの手間が減る代わりに、現物を一度も見ないまま納品が完了します。数が違っても、傷があっても、届いてから客先に指摘されて初めて分かります。
直送は便利ですが、社内の確認の工程が丸ごと抜けます。この記事では、直送の管理を、依頼から納品の確認までの流れで整理します。自社から出す場合の確認は誤出荷を防ぐ方法にまとめました。
この記事の内容(10項目)
- 直送で抜ける工程を知っておく
- 確認の工程は「前」に移す
- 在庫を通らないので、在庫管理表には載らない
- 届いたことの確認だけは必ず入れる
- 依頼のときに伝えること
- 住所は電話で伝えない
- 納品書の記載を指定する
- 出荷の連絡を依頼する
- 納品を確認する
- 予定日を過ぎた行を週1回見る
- 客先への確認は営業経由でもよい
- 仕入先に着荷の確認を依頼する方法もある
- 直送の管理表に持たせる項目
- 納品日の欄が閉じる条件になる
- 注文残とつなげておく
- 分納がある場合は行を分ける
- 直送でトラブルが起きたとき
- まず自社の依頼内容を確認する
- 客先に写真を依頼する
- 代わりの手配は自社から出すこともある
- 直送にするかどうかの判断
- 初めての品目は自社を通す
- 距離とロットで判断する
- 客先の受入体制も確認する
- 仕入先に検品の水準を伝える
- 客先に直接連絡させない
- 初回だけ自社に見本を送ってもらう
- 客先からの評価を仕入先に返す
- 直送の実績を仕入先ごとに見る
- 直送を任せる先を絞る
- 年に1回、実績を伝える
- 直送の管理でつまずきやすい3つ
- その1:宛先を電話で伝える
- その2:届いたことを確認していない
- その3:在庫として計上してしまう
- よくある質問
直送で抜ける工程を知っておく
直送の管理を組むには、まず何が抜けるかを押さえます。抜けた分を別の形で埋めます。
| 通常の出荷 | 直送 | 埋め方 |
|---|---|---|
| 入荷検品で数と状態を確認 | 無い | 仕入先に検品の水準を伝えておく |
| 出荷前の確認で宛先と数を確認 | 無い | 依頼の時点で文字で正確に伝える |
| 荷姿を自社で決める | 仕入先任せ | 梱包と同梱書類を指定する |
| 出荷したことを自社で把握 | 連絡が来ないと分からない | 出荷の連絡を依頼する |
| 在庫を通る | 通らない | 在庫としては計上しない。案件で追う |
確認の工程は「前」に移す
直送では、届いてからの確認ができません。依頼の時点で正確に伝えることに、確認の手間を全部寄せます。
在庫を通らないので、在庫管理表には載らない
直送の品物は自社の倉庫に入らないので、在庫としては計上しません。案件ごとの管理表で追う形になります。ここを混ぜると、在庫が合わなくなります。
届いたことの確認だけは必ず入れる
直送の管理でいちばん抜けやすいのが、ここです。納品予定日を過ぎたら確認する、という手順を入れておかないと、届いていないことに気づけません。
依頼のときに伝えること
直送の管理は、依頼の内容がすべてです。口頭で伝えず、文字で渡します。
| 伝えること | 形式 | 抜けると |
|---|---|---|
| 届け先の住所 | 文字で。番地まで正確に | 誤配になる |
| 届け先の担当者名と電話 | 文字で | 不在で戻る |
| 希望納品日と時間帯 | 文字で | 受け取れない日に届く |
| 品目と数量 | 発注書の内容をそのまま | 違うものが届く |
| 納品書の記載 | 自社名を入れるか、単価を伏せるか | 見せたくない情報が出る |
| 同梱書類 | 検査成績書、取扱説明書など | 客先で不足が発覚する |
| 出荷の連絡 | 出荷したら知らせてもらう | いつ届くか分からない |
住所は電話で伝えない
聞き間違いは必ず起きます。メールか発注書に書いて渡すのが原則です。届け先が新規の場合は、地図のリンクも添えると確実です。
納品書の記載を指定する
仕入先の名前や仕入単価が客先に見えてよいかは、取引によって違います。依頼の時点で指定しておくと、あとで問題になりません。
出荷の連絡を依頼する
出荷したことを知らせてもらえれば、着荷の見込みが分かります。伝票番号まで教えてもらうと、こちらでも追跡できます。
納品を確認する
直送の管理は、届いたことを確認して初めて閉じます。ここを飛ばすと、案件が宙に浮きます。
予定日を過ぎた行を週1回見る
すべての直送を毎日追う必要はありません。納品予定日を過ぎているのに納品日が空欄の行だけを、週に1回見ます。5分で終わります。
客先への確認は営業経由でもよい
購買から客先に直接聞きにくい場合は、営業に確認してもらいます。誰が確認するかを先に決めておくと、確認そのものが飛ばされません。
仕入先に着荷の確認を依頼する方法もある
運送の伝票を持っているのは仕入先です。「着荷を確認したら連絡してください」と依頼すると、こちらの手間が減ります。
直送の管理表に持たせる項目
直送は案件ごとに追うので、注文残の管理とは別の表を持ちます。
| 項目 | 使いどころ |
|---|---|
| 案件番号・注文番号 | 発注の記録とつなぐ |
| 仕入先 | 問い合わせ先 |
| 届け先・担当者 | 確認の連絡先 |
| 品目・数量 | 何を送ったか |
| 依頼日・希望納品日 | 予定の管理 |
| 出荷連絡日・伝票番号 | 追跡に使う |
| 納品日 | ここが埋まって閉じる |
| 状態 | 依頼済・出荷済・納品済・トラブル |
納品日の欄が閉じる条件になる
直送の管理表で最も大事なのが納品日です。ここが空欄の行が、まだ終わっていない案件です。状態の欄と併せて持つと、見やすくなります。
注文残とつなげておく
直送も発注の一部なので、注文残の管理と番号でつながっている必要があります。案件番号か注文番号を共通にすると、両方から追えます。
分納がある場合は行を分ける
直送で分けて納品される場合、1行では残数が分かりません。納品のたびに数量を足していくか、行を分けて管理します。
直送でトラブルが起きたとき
直送では、こちらが現物を見ていないぶん、状況の把握に時間がかかります。
| 状況 | まずやること | 気をつけること |
|---|---|---|
| 届いていない | 伝票番号で追跡する | 客先に確認する前に状況を把握する |
| 数が足りない | 仕入先の出荷記録を確認する | 客先に写真を依頼する |
| 違うものが届いた | 依頼の内容と出荷の内容を突き合わせる | こちらの依頼が正しかったか先に確認する |
| 破損していた | 客先に梱包材ごと保管を依頼する | 運送業者への申し出は期限がある |
まず自社の依頼内容を確認する
違うものが届いた場合、依頼の内容そのものが間違っていた可能性があります。仕入先に問い合わせる前に、こちらが送った依頼を見返します。
客先に写真を依頼する
現物が手元に無いので、状態は写真で確認するしかありません。「梱包材ごと残して、写真を送ってください」と早めに依頼するのが要点です。破損の扱いは輸送中に破損したときの対応で扱っています。
代わりの手配は自社から出すこともある
急ぐ場合は、仕入先からの再送を待たずに自社の在庫から出すほうが速いことがあります。納期を優先するか、費用を優先するかで判断します。
直送にするかどうかの判断
直送の管理には手間がかかるので、すべての案件を直送にする必要はありません。
自社を経由する
入荷検品と出荷前の確認ができる。輸送費と日数が増える。
品質の確認が自社でできる。
直送にする
輸送費と日数が減る。現物を見られない。
確認の手間が依頼と納品確認に移る。
初めての品目は自社を通す
取引の初期や、初めて扱う品目は、一度自社で現物を見ておくほうが安全です。水準が分かってから直送に切り替えるという順番にします。
距離とロットで判断する
仕入先と客先が近く、自社が遠い場合は、直送のほうが合理的です。輸送費と日数の差が大きい案件から直送にすると、効果が分かりやすくなります。
客先の受入体制も確認する
客先が受け取れる時間帯や、荷降ろしの設備を確認しておきます。自社が届けるときと違う条件になることがあります。確認の項目は自社の出荷前確認と同じ考え方で作れます。
仕入先に検品の水準を伝える
直送では、仕入先の出荷がそのまま客先に届きます。こちらの基準を伝えておく必要があります。
| 伝えること | 理由 |
|---|---|
| 外観の基準 | こちらなら弾く傷が、そのまま届く |
| 梱包の仕様 | 自社の梱包と水準が違うことがある |
| 荷札の表示 | 客先の受入の都合に合わせる |
| 同梱する書類 | 検査成績書など、客先が求めるもの |
| 問題があったときの連絡先 | 客先ではなく、こちらへ連絡してもらう |
客先に直接連絡させない
仕入先が客先と直接やりとりを始めると、こちらの把握できないところで話が進みます。「問題があればこちらへ」と最初に伝えておきます。
初回だけ自社に見本を送ってもらう
梱包や荷札の状態を確認するために、初回だけ自社にも1つ送ってもらうという方法があります。以降は直送に切り替えます。
客先からの評価を仕入先に返す
直送が良かったか、問題があったかを仕入先に伝えると、次から改善されます。こちらが間に立って情報を返すのが、直送を続けるうえでの役割です。
直送の実績を仕入先ごとに見る
直送の管理を続けると、仕入先ごとの傾向が見えてきます。客先に直接届く以上、ここは品質の一部です。
| 見る数字 | 分かること |
|---|---|
| 納品予定日と実際の納品日の差 | 直送での納期の安定度 |
| 客先からの指摘の件数 | 梱包や荷姿の水準 |
| 出荷の連絡が来た割合 | 依頼どおりに動いてくれているか |
| 書類の不備の件数 | 同梱書類の指定が伝わっているか |
直送を任せる先を絞る
すべての仕入先に直送を頼む必要はありません。実績のよい先だけに直送を任せて、それ以外は自社を経由するという使い分けができます。
年に1回、実績を伝える
直送を任せている仕入先には、年に1回、実績を伝えます。「昨年の直送は○件、客先からの指摘は○件でした」と伝えると、水準の維持につながります。
直送の管理でつまずきやすい3つ
その1:宛先を電話で伝える
住所や担当者名の聞き間違いは必ず起きます。メールか発注書に書いて渡すのが原則です。新規の届け先なら地図のリンクも添えます。
その2:届いたことを確認していない
現物を見ないので、届いていなくても気づけません。納品予定日を過ぎて納品日が空欄の行を週1回見るという手順を入れておきます。5分で終わります。
その3:在庫として計上してしまう
直送の品物は自社の倉庫を通りません。在庫管理表には載せず、案件ごとの管理表で追う形にします。混ぜると在庫が合わなくなります。
直送の管理は、確認の手間を「届いたあと」から「依頼するとき」に移す作業です。依頼を文字で正確に渡し、納品日の空欄を週1回見る。この2つで回ります。件数が少ないうちは頭で覚えていられますが、月に数件を超えたあたりから、必ずどれかが抜け落ちます。表を作るのはその前がよいタイミングです。
よくある質問
- Q. 直送した品物は、在庫として計上しますか?
- 自社の倉庫を通らないので、在庫管理表には載せません。案件ごとの直送の管理表で追う形にしてください。在庫として計上すると、現物が無いのに数がある状態になり、棚卸で合わなくなります。
- Q. 直送を依頼するとき、何を伝えればいいですか?
- 届け先の住所と担当者名と電話、希望納品日と時間帯、品目と数量、納品書の記載の指定、同梱書類、出荷したら連絡してほしいこと。この6点を文字で渡してください。特に住所は電話で伝えず、メールか発注書に書きます。
- Q. 直送で届いたかどうかは、どう確認すればいいですか?
- 納品予定日を過ぎているのに納品日が空欄の行を、週に1回見る形にしてください。確認は客先に聞くか、仕入先に着荷確認を依頼します。誰が確認するかを先に決めておかないと、この工程が飛ばされます。
- Q. どの案件を直送にすればよいですか?
- 仕入先と客先が近く、自社が遠い案件から始めると効果が分かりやすくなります。ただし、初めて扱う品目や取引の初期は、一度自社で現物を見ておくほうが安全です。水準が分かってから直送に切り替えてください。
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